ニッケイ新聞 2007年10月23日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】財務省スタッフの念願であった地方自治体の実質収支で赤字ゼロが、奇跡的に達成の見込みとなったことが明らかになった。南リオ・グランデ州を除く全国の二四州は二〇〇七年一月から八月までに、合計で一三七億レアルの実質黒字を計上した。ブラジルの公共財政史では、前代未聞である。
これまで地方自治体の財政赤字が、連邦政府の財政に負担となっていた。財政収支の実質黒字は、連邦政府と州政府、市庁などの歳入合計から債務の金利と公共事業費を含む歳出合計を差し引いたもの。これは地方財政が、健全化したことを示している。
政府は八月、三一六億レアルの実質赤字を計上した。これは基礎収支の黒字が八四一億レアルでは、公共債務の金利決済を入れると不足することを意味した。しかし、地方自治体の歳入がインフレを上回り、歳出も歳入内に抑え収支事情が好転した。
地方自治体は就任当初、政策運営のため資金蓄積を図った。それから通貨委員会から融資の取り付けを制限されたため財政を引き締めた結果が、実質黒字につながったとされる。
地方自治体が連邦政府への債務を期限内に決済しないと、新たな交付金が得られないうえ、外国での資金調達も禁じられた。連邦政府の地方における公共事業は二〇〇七年、二〇〇六年の
半分に減らされた。
一方、ICMS(流通税)の税収は、六・二%もインフレを上回って増えた。これは州財政にとって一四〇億レアルの予想外歳入である。二〇〇六年は一五州が、赤字財政であった。それが二〇〇七年は、南リオ・グランデ州のみに留まった。
実質黒字の州別ランクは、リオデジャネイロ州の一八億八〇〇〇万レアルをトップに、ミナス・ジェライス州、連邦直轄都、ペルナンブッコ州、バイア州、マラニョン州と続く。これまで貧乏州とされたマラニョンやピアウイ州が、黒字州へ転換。
南リオ・グランデ州のクルシウス知事(PSDB)は、これまで州予算縮小で裁判所や教員らから多くの抵抗があり、財政改革が遅れたことを遺憾とした。しかし、四年以内に他州同様に見事、実質黒字へ蘇生すると公約した。