ニッケイ新聞 2007年10月23日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十、二十一日】国内の交通事故死者は一〇〇人/日だが、フォルティス自治相のように家族を事故で亡くした人の場合、この数字の持つ意味は重い。
同相は先週リオ市で持たれた集会で、交通事故死を減らすためには、罰則の強化と、金、土両日の夜のパトロールの強化、ならびに、法の遵守の徹底が必要と訴えたが、同じ集会でリオ州知事は、一日七人が死亡している州の実態改善のため、二十二日に、州道でのアルコール飲料の販売禁止を議会に提案する意向であると発表した。
サンパウロ市の場合、交通事故で死んだ運転手の五六%は飲酒運転だったという数字が出ているが、サンパウロ総合大学グレーヴェ教授は、二八歳から三五歳の層については、週末の飲酒運転による死者をかなり減らせるはずだとしている。これは、週末にもたれるバラーダに行く若者が、入場前や会場で飲酒し、そのまま車を運転する傾向があるためだが、先の五六%という数字には、同乗していて死亡した人や、はねられたり、ぶつけられたりして死亡した人は含まれていない。
また、交通事故は、今年前半の数字では、下半身不随や脳挫傷と言った大きなケガの原因の四二%(昨年同期は三三・五%)におよび、銃器による被害二八%を大きく上回っている。
飲酒運転を軽く見る傾向は、飲酒運転による事故で誰かが死亡しても過失致死としてしか扱われないといった法体制にも一因があるが、十七日にブラジリアで、昨年八月に飲酒運転で自転車をはね、乗っていた人を死亡させた犯人を故意の殺人扱いとし、未決拘留することとなった。罪状が確定すれば二〇年以内の刑となる。これは、飲酒運転により被害者が死に至ったケースを殺人罪に問うた初めての例である。