ニッケイ新聞 2007年10月23日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十日】連邦警察は十九日、サンパウロ州アメリカーナ市の預金者に銀行が発行する口座収支報告書のミスを悪用して騙し取っていた詐欺グループ二三人を拘束した。犯罪はブラジル銀行に一〇億レアルの損害をもたらすもので、同銀行の上半期営業益が二五億レアルなので約半額に相当するものであった。
拘束された一一人は、弁護士や金融コンサルタント、為替両替人、連警の定年職員。さらに国税庁リオ支部監督官二人とブラジル銀行職員、消防署の定年大佐、元州議なども関与していた。誤記を利用して不正にお金を引き出す方法なので、連警は錬金作戦と命名していた。
連警は職員一五〇人を動員し、サンパウロ州など五州へ派遣。事件の発端は同市住民が、所得税申告を行うため銀行へ口座収支報告書を受け取りに行ったところ、いつもと異なる予想以上の金額の書類を受け取ったことに始まる。
驚いた住民は、多額の所得税を支払えないため銀行へ報告書の誤記を知らせた。とりあえず銀行は誤記を訂正したが、その後、報告書コピーを悪用した形跡を突き止めた。ブラジル銀行と連警は内偵調査を始めたところ、同銀行職員と国税庁監督官二人が関与し、不正取得した資金をタックス・ヘイブンへ送金する手筈になっていた。
組織が所有する銀行口座は、ブラジルやウルグアイ、米国に一五もあった。さらに連警は、スイスへも捜査を依頼した。
報告書の偽造を発見されれば、誤記で訂正し、発見されなければ、不正取得で横領する。捜査当日だけで損害額は、六万五〇〇〇レアルに達し共犯者の受取分も決まっていた。現金の引き出しには、元州議や定年退職した警察署長などがロビーとして立ち会っていた。