ニッケイ新聞 2007年10月24日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】中央銀行は二十二日、レアル通貨の高騰で外国と取り交わされる資産とサービスの外貨収支が著しく悪化したと発表した。二〇〇七年九月の外貨準備高は、四億七一〇〇万ドルで二〇〇六年九月の二二億五〇〇〇万ドルに比較すると五分の一に落ち込んだという。
多国籍企業の配当送金が過去数カ月、急増しているのには二つの理由がある。レアル通貨の高騰で為替事情が有利であること。直接投資が十分あり、財政的余裕ができたため、配当金を上積みしたことである。多国籍の利益送金急増で十月は、外貨準備がマイナスに転ずる可能性も視野にある。
九月の国外送金は、一六億八六〇〇万ドルだ。昨年九月が、八億六四〇〇万ドルであったので倍増したことになる。十月は二十二日までに一八億ドルが、国外へ送金された。レアル通貨が高騰すると、国外送金に拍車がかかる。送金する企業にとって、為替差益だけでも大きな利益だ。
さらに直接投資の増加は、資金的余裕によるインパクトを取引にもたらし、予想外収益の送金にもつながる。多国籍企業は、政府が予想していた以上の営業利益を計上し、笑いが止まらないでいるようだ。
輸入は十月第三週、一日当り五億九〇〇〇万ドルで記録更新をした。主な輸入品は、燃料や潤滑油、工作機械、外車、同部品、肥料、PVC資材である。十月の貿易収支は二〇億一〇〇〇万ドル、年間で三二九億五九〇〇万ドル。昨年同期比一〇・七%減だ。
国外からの直接投資は一月から九月の九カ月間、二八〇億ドルに達した。昨年は一年間で一八八億ドルであった。一三五%も増えたことになる。ブラジル経済はインフレが制御され、そこそこの経済成長も遂げている。投資家にとって有り金を預けるに、申し分のない稼ぎ場である。