ニッケイ新聞 2007年10月25日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十四日】米系多国籍企業シスコ・システムスの一五億レアルに上る脱税容疑を捜査する連邦警察は二十三日、電話盗聴記録からロビーがPT(労働者党)への政治献金を打診する会話を聴取した。同献金は、連邦カイシャ・エコノミカの下請け業務入札で便宜を図ってもらうリベートと解せられる。
同システムスにまつわる脱税と係官買収の犯罪で十九日、四二人が拘束された。政治献金は、シスコを創業したカルネヴァリ社長と傍系のMude代表が打ち合わせていたもの。会話は献金金額とPT代表との接触期日の設定であった。同社長とカイシャ総裁の会合も触れていた。
どの記録にもPT代表の名前は、出ていない。カイシャの下請け入札でPTへの接触は、連警にとって第二段階目の捜査活動となった。政府機構内に張りめぐらされたシスコの不正システムは、概容が濃厚となってきた。連警は、裁判所から捜査発表を禁じられたので公表はしない。
カイシャのコエリョ総裁は、ペルナンブッコ州のPT党員である。またカイシャの技術主任コペッチ氏は、南リオ・グランデ州の古参PT党員だ。カイシャのマットーゾ前総裁は、管理人コスタ氏の銀行口座を無断開示し、解雇された人物である。さらにパッロシ前財務相も、同件で辞任に追い込まれた。
米系多国籍企業のシスコは、ブラジルのIT機器販売で八〇%のシェアを占めている。同社は国税庁を始め多くの政府機関へIT機器を納め、表向きは一点非の打ち所のない企業である。傘下には汚れ役とたこの足的な無数のダミー企業があって、自分も太りながら親会社を支えている。
これまでの連警捜査でシスコとMudeは、米国内とブラジルにIT機器を導入するためのダミー企業郡を築き、オフ・ショアー販売を行った。同社の機器は、市場平均価格より七〇%割安であった。過去五年の取引量から約一五億レアルを脱税したと、国税庁は試算している。