ニッケイ新聞 2007年10月26日付け
二〇〇七年は四・四%の成長を見込みだが、二〇〇八年は四%の成長という国際通貨基金(IMF)の予想が出された(十八日フォーリャ紙)ブラジル。IMFは、ドル安の今、国際的な借財を少しでも減らし、国際的な外国投資受け入れだけではなく、自らが投資する側につくべきだと進言しているが、そのためには投資向け資金を作るための支出削減が求められる。
二十三日付エスタード紙でもゲルダウ・グループ会長が政府は支出削減と生産性の向上をと説いていたことだが、二十五日付フォーリャ紙ならびにエスタード紙には、プラナウト宮に二十四日、大企業家たち約一〇〇人が集まったことが報じられている。
これら企業家たちを招いたのはルーラ大統領。会合前は、金融取引暫定令(CPMF、通称小切手税)延長のことなどで苦情を述べていた企業家たちは、会合中の大統領の話術にはまってしまったらしい。
もちろん、企業家たちは現行の税が重すぎるとCPMF以外の税についても苦言を呈したが、大統領は短期的には税制改革は難しく、現行税制を維持するとした。大統領は現政府の重点課題は社会政策であるとし、政策維持のためには現行の税体制が必要であると企業家たちを説得。いっぽう、税改革には賛成とし、彼らの助けも求めた。
大統領氏は労働者と雇用者との相互理解の必要なども説いたが、さらに大きな関心は国外市場への進出であったようである。先にインド、南ア両国と核協定を結んだ(十九日付け本紙既報)大統領は同時に交易関係についても両国首脳と話し合っているが、集まった企業家たちにもっと積極的に輸出攻勢をと求めた。大統領は自動車産業、製鉄業などを例にあげながら、ブラジルはもはや国内だけではなく、国外にも市場を開拓、拡大していくべきだとして、輸出を簡便化していくための航空業部門強化も話し合いたいとした。
集まった時には難しい顔をしていた企業家の面々。しかし、解散時には現政府の功績を賞賛したりと政府に対する声音が変わっていたというこの集まり。CPMFの税率削減、政府支出の削減、税の軽減化等、企業家諸氏の投げかけた注文に現政府はどのような答を出してくるのか。経済発展のための課題は大きい。