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「日伯間に大きな転機か」=『経済界』がブラジル特集=佐藤編集長代行が取材に

ニッケイ新聞 2007年10月26日付け

 日本の経営者の大半が読んでいるといわれる経済総合誌『経済界』新年号でブラジル特集が組まれることになり、取材のために編集長代行の佐藤修さん(62)が二十日に来伯し、セルソ・アモリン外務大臣らを取材するなど精力的に動き回った。九月には訪日したマルタ観光大臣にも独占取材しており、「両国間に大きな転移が訪れていることを感じた」という。
 三十年前、月刊総合誌『流動』編集長としてブラジル特集の取材に初来伯し、移民七十周年に沸く当時を取材した。今回は、老舗の経済誌でブラジル特集を初企画し、二回目の訪伯となった。特集は三十頁で十二月中旬に発売予定。
 感想を尋ねると、「前回はポテンシャル(潜在的可能性)を感じたが、今回はそれが現実のものになっている。大変なパワーだ」と比較した。
 二十二日にアモリン外相を取材した折り、「来年の日伯交流年を機会に、両国の戦略的なパートナーシップを作りたい。平和、環境など多面的に関係にし、国連安全保障理事会も含め、関係強化を」などという意見を聞いたという。
 さらに、ルーラ大統領が来年七月に北海道洞爺湖サミットに参加する可能性があることも話題にのぼったという。取材時のアモリン外相の顔写真が、〇八年新年号の表紙を飾る予定になっている。
 翌二十三日には開発商工省のイヴァン・ラマーリョ事務次官にも、バイオエタノール、デジタルTV、鉄鉱石や大豆などについて取材した。
 佐藤さんは今後の課題として、「本当の意味での人的交流がまだ弱い」とし、アモリン外相にも強くその要望をしたという。
 そのほか、九月に取材した際にマルタ観光相は、昨年の訪伯日本人数は七万人、今年は九万人との数字をあげ、「将来は九十万人を呼びたい」との希望を語ったという。それから考えると、以前に比べて飛行機の乗り継ぎ時間が長くなり、航空運賃が高くなっている現状も指摘した。
 佐藤さんは、「来年、再来年にかけて日伯関係は劇的に変化するでしょうね。今までの積み重ねがあるから、ブレイクスルー(突破)するのでは」と力強く手応えを語り、二十四日に帰国した。
 日本経済新聞の初代サンパウロ特派員だった経済ジャーナリスト、竹本昌史さん(66)も今特集のために一日に来伯し、ペトロブラス、リオドセはもちろん、サンパウロ市、ベロ・オリゾンテ、ベレン各地の日系進出企業の取材を進めていた。