ニッケイ新聞 2007年10月27日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日】地球温暖化の抑制に役立つ通貨が十九日、国連環境機関で認められた。通貨となる炭素クレジットを生み出す自然林の植林プロジェクトが、世界で初めて立案された。植林される場所は、サンパウロ州チエテ川流域とAESチエテ発電所の貯水湖付近。
植林会社は、すでに一四五〇ヘクタールに植林をした。しかし、プロジェクトは一万ヘクタールに生態系豊かな自然林を造成する計画である。国連が承認した環境クレジットは、排気ガスを削減する目標値が設定されたプロジェクトでなければならない。
排気ガスの削減目標値は、二〇一二年までに達成することで一七五カ国によって署名された京都議定書に明記されている。同プロジェクトは、大気中から三〇〇万トンのCO2を吸収するとAESチエテ計画のデモステネス・シウヴァ主任が述べた。
CO2吸収の方法は、自然林が成長の過程で大気中のCO2を食物として吸収し、植物の細胞内で消化しながら樹木を形成する。プロジェクトが大気中の炭酸ガスを一トン吸収する毎に、国連が証明書を発行する。証明書は、排気ガス削減目標に挑む国や企業に売却ができる。
プロジェクトの三〇〇万トン炭素クレジットは、国際市場で一億三〇〇〇万レアルの価値がある。プロジェクトの実施には、一二六種類の自然木を八〇〇〇万レアルかけて植林する。そのために種の収集から苗木の栽培まで行う。
国連の目的は、炭素クレジットによる収益取得だけではない。同プロジェクトが呼び水となって、次々新しいプロジェクトに道を開くことを願っている。