ニッケイ新聞 2007年10月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】ジェットゥリオ・ヴァルガス財団は二十八日、ブラジル経済の代表的産業が従来の製造業からアグリビジネスと鉱物採掘業に代わったと発表した。そのためインフレのバロメーターとされるIPA(卸売り物価指数)に占める要因も、大きく変わったという。
二〇〇八年一月からIPAに占めるアグリビジネスの割合は、従来の二五・三二%から二七・八九%へ引き上げる。ブラジルの産業ではアグリビジネスが一九八五年以後、工業よりも急速に発展した。いまやブラジル経済を左右するのは、原油価格ではなく大豆価格となっている。
IPAに占める大豆価格は五・三八%に対し、原油が五%以下である。IPAは、IGP(総合物価指数)の六〇%に影響を及ぼす。IGPは、金融市場や契約書などで主に使われる指数。大豆価格は過去二〇年、アグリビジネスの代名詞であった。
大豆生産は過去二〇年で四倍に増え、五八三億トンを生産するに至った。大豆は農産物の代表選手である。農産物GDP(国内総生産)二八八億レアルの二三・八%が、大豆だ。
アグリビジネスの代表選手は、他にもいる。さとうきびやブロイラー、牛肉、トウモロコシ、砂糖など。工業製品はどれも、ブラジル産業の代表選手から降りた。例外は、金属コモディテイのブームに乗った鉱物採掘だけである。
鉱物採掘がIPAに占める割合は、二・三二%から二・八三%に伸びた。ほかに工業で静かに伸びたのは、包装材のペット・ボトルとプラスチックの袋。携帯電話やDVDプレイヤー、コンピューターは、今ようやくIPAに仲間入りをしたところだ。
技術革新により、かつての王座を追われた産業は、固定電話やブラウン管テレビだ。固定電話の三〇%は、市場から消える。消費者は、コードレス電話や多機能つき電話へ移る。ブラウン管テレビが、すぐになくなるわけではないが、プラズマやLCDへ徐々に代わる。