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日伯経営者の体験学ぶ=盛和塾=250人集い塾長例会=稲盛氏がリーダー像説く

ニッケイ新聞 2007年10月30日付け

 約三千八百人の企業家が集って、人生哲学や経営哲学を学んでいる盛和塾の塾長例会が、稲盛和夫塾長(京セラ創業者、現名誉会長)を迎えて、二十日、ブルーツリー・パラダイスで開催された。日本、ブラジルそれぞれの塾生らの体験発表と、ブラジルの若い企業幹部らを集めたGEFグループを対象にした、稲盛氏の講演「リーダーの在り方」が行われ、日本からの参加者九十六人と、ブラジルからの参加者約百五十人が、熱心にメモを取りながら、話に聞き入った。
 盛和塾ブラジルは今年で創立十四年。塾長の来伯は十周年記念時の〇三年以来、四年ぶりとなる。
 塾長例会は、交流勉強会「日本塾生に学ぶ」と題して、花田雅江さん((株)岡三食品)、村上健さん((株)カネテツデリカフーズ)、栗山敏昭さん((株)栗山米菓)が自身の経営体験を発表。大赤字や負債、会社の不祥事、早期退職者募集や給料カットの実施を越えて、企業の建て直しに奮闘している各経営者の取り組みが紹介された。
 昼食をはさんで午後からは、GEFグループのメンバーらが同時通訳をうけて、稲盛氏の講演を聞いた。稲盛氏は「リーダーに大切なことは、ビジョン、ミッション、人格という三つです」と説く。京セラの創業、電信産業への参入、世界的な展開を経ていく中での自身の経験談をもとに、稲盛氏は淡々と話しつづけていた。
 ブラジルの塾生からは、南忠孝さん(64、五六年渡伯、(有)ミナミ農機)、森田泰司さん(59、七一年渡伯、ビアンカ社)、ジョン・アウグスト・マウベスチチさん(55、ミクロキミカ社)の三人が発表。学歴が小学校卒、畑仕事のみの毎日に将来の不安を覚えて、物作りの職人になろうと決意した南さんは、これまでの努力を話した。
 また、昔は「埼玉のごろつき」という森田さんは、今社員全員とともに社の将来的な夢を共有していると紹介。稲盛氏が「人間は歳に関わらず、周りの環境や状況によっていか様にでも変われる」とエールを送っていた。
 ポルトガル語で発表した非日系のアウグストさんは「真剣に哲学を学ぶようになって、『独学でやってきた者でも考え方と熱意で、学歴のある人を越えられる』と思えた」と報告し、参加者一同、盛和塾の経営哲学が国境、人種を越えても有効であることが示されたと納得した様子だった。
 来伯中の盛和塾一行は、二十一日にはクリチーバで、二十三日にはアングラ・ドス・レイスで塾長例会を行い、二十四日に公式日程を終えた。