ニッケイ新聞 2007年10月31日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】FGTS(勤務年限保障基金)管財委員会は二十九日、二〇〇八年一月から月収四九〇〇レアル以上の世帯所得者を対象に、三五万レアル以下の物件でFGTS住宅ローンを組ませる方針を決めた。ローンを希望する世帯主は、三年以上FGTSを保持していること。
政府は、FGTSから総額で一〇億レアルをローンに充当する考えである。これまで四九〇〇レアル以上の所得者に、FGTSによる住宅ローンの道は開かれていなかった。同管財委員会は政府と労使代表で構成され、不動産市場に中流階級向けの大型ローンを提供することになる。
FGTSの主要部分を保有し支えている所得者は、FGTSの柱でもある。FGTSの収支は、二一〇億レアルの黒字で何らかの有効活用が問われていた。FGTSのローン一〇億レアルとポウパンサ(貯蓄投資)の住宅ローン七億レアルが、不動産市場を活性化し都市計画に役立つ。
FGTSローンの利子は年八・六六%で、ポウパンサ住宅ローンの九%から一二%より低利である。FGTSを三年以上使ってない保持者は、二〇〇八年一月から利子をさらに〇・五%引き下げられるらしい。公務員はFGTSがないので、ローンの対象にはならない。
FGTSの住宅ローンは、高級住宅地域が優先される。世帯の月間所得が四九〇〇レアルを上回る場合、物件の価格も一三万レアル引き上げられる。しかし、月間所得が四九〇〇レアル以下でFGTSを利用できるチャンスがなく、マイホームの夢もかなわない勤労者も多数居り、不満が積もっている。