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農務省監査体制強化へ=牛乳への薬品混入事件受け

ニッケイ新聞 2007年10月31日付け

 ミナス州で賞味期限切れのチーズの転売発見等、食の安全が問われているが、二七人が逮捕された牛乳への薬品混入事件で、混入した薬品の調合者は問題の二乳業組合のほかに八社に関係していたことが発覚。また、監査体制の問題点も指摘され(逮捕者のうち二人は監査官)、農務省は監査体制の変更を発表した。
 パルマラッテ社等、大手企業も巻き込んだ薬品混入事件については本紙でも報じたが、三十日付フォーリャ紙によれば、薬品調合の責任者ボルジェスは、ミナス州ならびにサンパウロ州の八社から毎月八〇〇から一二〇〇レアルの報酬を受取っていたという。これに対し各企業は、彼は書類や牛乳の品質ならびに工場内の衛生管理のプログラム等、計画立案やオリエンテーションを担当しただけで、問題の調合薬品は使っていないとしている。この回答は、連警への告発者の「彼は混合液をあちこちにばら撒いていた」との供述とは合致せず、連警は薬品汚染された製品は、他社でも見つかると見ている。
 また、事件発生を許した監査体制については、農務省の乳業企業の担当監査官は、逮捕された二人を含む二一二人、いっぽう対象企業は一七〇〇社(ロンガ・ヴィダを扱う企業だけでも二〇〇社)。各監査官が平均八社を担当することになるが、それぞれの担当者の監査する企業は固定しており、企業との癒着を生む体質であったといえる。このため、農務省は今後、獣医二人と衛生管理の専門家一人の三人一組で監査することとし、監査企業は毎月入れ替えるという(三十日付フォーリャ紙、エスタード紙他)。なお、二十七日付アゴーラ紙によれば、各社の販売網が全国的なら国の、州内だけなら州の、市内だけなら市の監査官が監査を行うことになっている。
 また、サンパウロ市での製品回収は速やかに行われた模様で、サンパウロ市衛生局の担当者は二十六日時点で、回収指示の出たパルマラッテ、カルー、センテナリオ各社の製品(特定の番号で組分けされている九組)は、市内のスーパーなどでは見つからなかったとしている。
 通常、袋入りの牛乳は低温保存された原乳が工場に持ち込まれ、七五度前後で一五~二〇秒間加熱された後、均質化処理されるが、ロンガ・ヴィダの製品はその後、さらに一四〇度前後で二~四秒加熱処理される。問題になった過酸化水素水は、低温処理が十分でなかった場合の雑菌処理に、苛性ソーダは牛乳の酸度の調整に使われていた。その他、水や塩なども混入されていたのが発覚しているが、これらは、経費削減のための一助であったとされている。