ニッケイ新聞 2007年11月01日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十一日】二〇一四年度の第二〇回W杯サッカー開催がブラジルと決定したことでルーラ大統領は三十日、大会を成功させ隣国の誰からも文句をいわせないと声明を発表した。大統領はW杯のトロフィーを掲げ、一九九四年のイタマール元大統領と二〇〇二年のカルドーゾ前大統領と、ブラジルの歴代大統領がトロフィーで名声を博したように、政治的に大いに点数を稼いで見せると宣言した。
ルーラ大統領は、第三次政権の計画がないから二〇一四年には大統領の任にないという。W杯開催の責任者になれないのは、残念だと。しかし、実際には発展し続ける活力ある産業を築き、来るW杯を立ち上げる経済基盤を構築したことで立派に財政的責任を果たしていると述べた。
W杯サッカー開催でFIFAから四億ドルが、交付される。スタジアムの修築費は、一二億ドルが見込まれる。それに付帯設備が必要になる。モルンビー競技場は住宅地で道が狭い。他区との連絡幹線道路がない。非常時の行動に不便な町並みである。
ブラジルのサッカー競技場には、数々の技術的問題がある。観覧席の角度や視界曲線、観覧席と芝生の間隔が国際規格外である。競技場の反対側が見えない観覧席が多い。中央席を報道陣が使うと、競技の一部分しか見えない観覧席が多くなる。これを改造すると、莫大な費用がかかる。
W杯開催でサンパウロ市の風景は、一変する。所得格差の大きい都市なので、W杯を機会に整理が行われそうだ。新たな付帯設備の建築は北部と東部にすれば、地元住民のレジャーや教育、医療などで役立ちそうだ。ルーラ大統領は、W杯をチャンスに社会福祉へ挑戦するに違いない。
大統領の挨拶は、国際サッカー連盟(FIFA)のアルゼンチン人グロンドナ副会長を不快にさせた。同副会長は、ブラジルのむき出しなライバル意識で両チームを同じ鍋で油揚げにし、こんな雰囲気を終らせて欲しいと語った。
ブラジルに関し暴力やサッカー競技が資金洗浄の道具になっているなどの質問が、相次いだ。ブラジルの暴力や殺人事件は、先進国の大都市で起きているテロや校内発砲に比較したら、取るに足らないことと、ブラジルサッカー連盟のテイシェイラ会長が説明。先日汎米大会が開催されたが、誰もかすり傷さえ負わなかったと述べた。