ニッケイ新聞 2007年11月01日付け
ブラジルに移住している記録映像作家の岡村淳さんが、最新作「あもーる・あもれいら」を引っさげて、十日から二十五日にかけて、北は北海道札幌から、南は国境を越えた台湾まで、十四カ所で上映会を実施する。インターネットを媒体にした、岡村さんの賛同者グループ「岡村講」が立ち上がって約一年。活動場所も徐々に幅を広げているようだ。
「あもーる・あもれいら」は、パラナ州奥地の小さな町アモレイラにある、貧困家庭の子ども向けの託児所が舞台。同施設で奉仕する四人の日本人シスターらの活動を通じて、家庭内暴力、麻薬、売春、貧困といった環境を生きている子供たちの姿を、一年に渡って追った。
岡村さんは日本での上映を前に、「『学校に行きたくない』子どもたちの増える祖国に、『学校に行きたくても行けない』子どもたちの命の輝きを伝えたい」とメッセージを込める。
岡村さんは一九八七年に移住。九七年から自主制作を始め、毎年日本で上映会を行ってきたが、ここ二、三年は、コロニアの行事でも上映を依頼されることが増えたという。「わかってもらうのに時間がかかった」と笑顔の岡村さん。
日本では「全く移民のことを知らない人にも共感してもらった。あまり知られていない世界を紹介して、いかに生きるかを、移民を通じて考えていただいている」。デカセギ者らを対象にしたり、移住家族会の会合に招かれたりすることもある。岡村さんは、「一回、一回が出会いの場」と、上映会開催を前に意気込んでいた。
今回の訪日では、最新作はじめ、移民の姿を捉えた「郷愁は夢のなかで」「ブラジルの土に生きて」「赤い大地の仲間 フマニタス二十五年の歩み」なども上映する。実施予定地は横浜、名古屋、四日市、花蓮(台湾)、東海大学(台湾)、札幌、福島、神戸(旧移住センター)。詳細は、岡村さんのホームページ(http://www.100nen.com.br/ja/okajun/)に掲載されている。