ニッケイ新聞 2007年11月06日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一月四日】国内の燃料価格は二年間も安定しているが、ブラジル経済は原油の国際相場でいつも危険にさらされている。特に航空機用燃料やナフタが、国際相場の影響を受けてインフレの兆候を見せている。ニューヨークの原油市場は十一月一日、バレル当り九五・九三ドルに値上がりした。
アゼルバイジャンの送油一次停止で一時は一二〇ドルの最高値までつけ、値下げ傾向で入った多くのヘッジ・ファウンドが倒産の憂き目にあっている。米国では、オイルショック・ウエーブという先物価格の安定と石油依存を低減する調整機関まで生まれた。
次回のオイル危機が、二〇〇九年五月に来るというのだ。米国の傾向は、やがてブラジルにも波及する。非常用備蓄石油の放出。最高時速の八八キロメートル制限。日曜祭日における乗用車の運転禁止。サマータイムの一年延長。交通規制に軍隊出動などが提案された。しかし、市民の猛反対で同案は頓挫した。
石油情勢の模擬調査を見ていると益々、黙示録の予言が現実味を帯びてくる。何度も終末という言葉がささやかれたが、それはなかった。九〇ドルを突破したが、需要は期待するほど減らない。誰もが、来る時は来ると感じている。
原油価格が、これでもかこれでもかと高騰しても、人類は不思議に耐えている。ルーラ大統領は、セーラサンパウロ州知事と大統領選を競ってから、ガソリンやガス、ディーゼル油の価格を抑えた。それまでは、国際価格に準じていた。
原油が一〇〇ドルに接近した現在、まだ末端価格を抑制できるのはレアル通貨強気のためといえそうだ。しかし、ルーラ大統領は石油製品別に燃料政策を立ち上げ、製品によって国際価格に準じるよう指示した。