ニッケイ新聞 2007年11月07日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】大統領府のバウンバッハ報道官は五日、ルーラ大統領がボリビア・ガスの確保と供給で経済使節団を引き連れ十二月十二日、同国を訪問と発表した。ペトロブラスのガブリエリ総裁とボリビアのエネルギー担当者は直ちに、詳細に関する事前交渉に入った。一年半にわたって冷え切っていた両国が縒りを戻したのは、ボリビアのヴィレガス石油相が再々、ブラジルに足を運び関係修復を求めたことに始まる。
ルーラ大統領とボリビアのモラレス大統領は五日、電話で忌憚なき意見を交わし首脳会談が決まった。それに先立ち両首脳は九日、サンチアゴで開催されるイベロ首脳会議で落ち合い、ボリビアへの本格投資について話し合う。
大統領は五日、対ボリビア投資についてロウセフ官房長官やウブネル鉱動相、他エネルギー担当者らを招き、電力危機回避について二回も会議を開いた。火力発電所へのガス供給は、産業の生命線であるとして大統領が訴えた。
ブラジルに無くて必要なもの、それはガスだ。そのためには、確実な供給ルートを確保しなければならない。ボリビア政府は前回のような国有化宣言や設備接収などを行わないと思うが、どういう形でそれを保証するのか両国は話し合う必要がある。
ブラジル経済は近年、好調でありガス需要も急増した。しかし、ガスの長期供給計画がない。ガブリエリ総裁は、同公団の技術陣とガス企業代表を引き連れてボリビアへ向かった。裏切ってかけ落ちした女房との再会である。
ブラジルが喉から手が出るほどガスを欲しがっていることで、ボリビアにとっても潮時のようだ。ペトロブラスにバッチリ投資をしてもらう。ペトロブラスもボリビア石油公団YPFBと石油省の保証がなければ、ビタ一文も出さない。うまく合意に至れば、本格的大型投資になる。
ボリビアは、間男との関係が切れたわけではない。ただ以前のような熱々の関係ではないようだ。頼りない男にすがりつくのも、いい加減にするようルーラ大統領が忠告した。
ボリビアの石油生産は当てにしていたベネズエラの資金援助はなく、アルゼンチン向け輸出契約は遂行不可の状態にあり、途方にくれていた。石油でしくじれば、モラレス政権そのものが崩壊する。イタマラチーは、ボリビアがまた裏切ることはないと見ている。