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モラレス言いたい放題=投資歓迎だが郷に従えと=二〇一一年電力危機に間に合うか

ニッケイ新聞 2007年11月08日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】ボリビアのモラレス大統領はペトロブラスのガブリエリ総裁一行を迎え六日、「投資は大歓迎である。しかし、ボリビアの法律を守って欲しい」と開口一番に述べ、ブラジルの足元を見た。前回の轍を踏まない保証が欲しければ、ボリビアの仕来りに従えというのだ。
 ボリビアは、いわば宝の持ち腐れといえそうだ。宝を換金するには、莫大な投資が必要であることが分かったらしい。再交渉に臨んだガブリエリ総裁は、勝負の仕切り直しを宣言した。かつてペトロブラスは、ボリビア国内総生産(GDP)の二五%を担っていたのだ。
 ペトロブラスが去った後、ベネズエラの石油公団PDVSAが入るはずであった。それは、当てが外れた。ガスの生産現場は、資金不足で休業状態にある。石油収入の途絶でモラレス政権は、政治危機にまで及んでいた。
 ボリビア政府の国有化宣言による一年半の空白は、ブラジルにとっても予定が狂った。ルーラ大統領は八日、エネルギー委員会(CNPE)を招集しガスの需要急増を協議する。エネルギー計画は、電力危機のリスクを回避する中長期計画が欠落していた。
 短期計画では、輸入ガスが到着するまでガス不足をバイオ燃料で代替する考えでいる。ボリビアのガス生産再開も、遠くないと見ている。電力需要がピークに達する二〇一一年は、ディーゼル油を火力発電に使用するらしい。
 ペトロブラスは二〇〇八年、液化ガスの専用輸送船をチャーターし、セアラー州のパセンとグアナバラ湾にガス専用港を設置する。二〇〇九年にはさらに一艘ガス専用の大型船が、ブラジルとアルジェリア、ナイジェリア間に就航する。計画では三艘だ。
 ガスを船で運ぶのは経済的ではないが、液化すると六百分の一に圧縮できるので大量に運べる。量としては、使い甲斐がある。ガス専用港は、船舶を沖に停泊したままパイプでガスの積み下ろしができる。