ニッケイ新聞 2007年11月08日付け
FDP記録映画製作所によるドキュメンタリー「笠戸丸移民物語」の試写会が十月二十七日午後、サンパウロ市の沖縄県人会館で行われ、関係者約三十人が訪れた。
同作品は百周年の節目にFDP社が製作を進めているもの。今回は経過報告の意味を込め、編集途中段階のものを上映した。
今回の試写では、第三代公使・杉村濬の墓やブラジルでの歩み、現在のサントス埠頭などの映像に加え、昨年十月に亡くなった中川トミさんへのインタビュー、プロミッソン名誉市民受章式や葬儀の様子、日本人として初の歯科医となった笠戸丸移民、金城山戸の娘へのインタビューなどを上映。
さらに、ノロエステ鉄道の結合点で現在は使われていない南麻州ポルト・エスペランサのリガソン駅(カンポ・グランデ近郊)など、貴重な映像も紹介された。
同作品の製作にあたっては、このほかにも、イッパチの関係者などをはじめ、サンパウロ州、南マットグロッソ州に住むノロエステ鉄道敷設に従事した移民の子孫ら二十人にインタビュー。他県に比べ比較的子孫の消息が把握しやすいこともあり、取材対象には沖縄県系の人が多い。試写会当日は、同県出身の笠戸丸移民の子孫も訪れていた。
まだナレーションや字幕が完全ではなく、今後来年六月をめどに完成に向けた編集作業を行っていく。その後は日本の社団法人農林放送事業団の助成により、日本での公開も計画されているという。
上映を終え、カメラマン兼ディレクターの左藤嘉一さんは「協力してくださった人でまだ出ていない人もいますが、完成したあかつきには全員出ます」と話し、「今後ともよろしくお願いします」と協力を呼びかけた。