ニッケイ新聞 2007年11月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ペトロブラス石油公団は八日、埋蔵量八十億バレルと見られる大油田をアングラ・ドス・レイスから二百八十キロ沖合いのサントス海溝に発見したと発表した。油田ブロックは、暫定的にトゥピー油田と命名。これでブラジルの石油埋蔵量は五〇%増加し、百四十四億バレルとなった。しかし、市販されるのは七年後の見通し。油質は、精製の手間が少ない良質油。ちょうどエネルギー問題が浮上しているとき、朗報である。
今回の大油田発見でブラジルは、石油輸出国のアラブ諸国と同席することになるとロウセフ官房長官が表明した。ペトロブラス株は八日、一四・四五%急騰。国家石油庁(ANP)が十一月、予定していたエスピリット・サント州とサンタカタリナ州の試掘入札は中止になった。
トゥピー油田は、幅二百キロ長さ八百キロにわたる。海深は、約二千メートル。海底からさらに三千、四千メートルの超深海に油田がある。ルーラ大統領は五日、大油田可能性の報告に接した。それが大言壮語につながったらしい。
大油田発見の朗報は、ルーラ政権を沸かせたようだ。同海域で、さらに八カ所も大油田の手応えがあるという。ブラジルは九大産油国へ仲間入りし、国際的地位が一夜にして変わったといえそうだ。埋蔵量では世界二十四位にあるが、一千億バレルも夢ではない。トゥピーは、その兆候。
試掘事業は、ペトロブラス六五%と英国系のBG二五%、ポルトガルのGalp一〇%の合弁である。同公団は、超深海の試掘にもノウハウを蓄積したようだ。井戸は、深くなるほど設置費が高くなる。カンポス油田で二千メートルの井戸は、設置費が一千メートルの三倍になる。井戸設置の技術革新が急務であるが、深度四千メートルの井戸は、四十五億ドルと見積もられている。
大油田発見はブラジルの依存性を減らし、独立性を増したことで朗報だ。しかし、ブラジルの石油事情は、大量の石油派生製品を輸入しているので赤字である。これから大量の原油採掘で大型投資とともに派生製品の自家生産にも努力する必要がある。