ニッケイ新聞 2007年11月10日付け
「政界一寸先は闇」だそうだが、民主党の小沢代表の唐突な辞任表明には驚いた。これが4日。そして6日には「もう一度、頑張りたい」と辞意を撤回し7日の議員懇談会では「大連立を否定」と真に忙しい。まあ、小沢一郎という人は「創造と壊し屋」の名手とされ、細川政権を樹立し、日本新党や新進党も結成したけれども、いずれも短命で終る▼事の起こりは福田首相との党首会談に始まる。首相から「連立」の話しがあり、小沢代表も乗り気で政策協議をしようと語ったらしい。ところが、民主党役員らが「連立を拒否」したので辞任を表明となったようだけれども、衆参の「ねじれ現象」を見れば―大連立の選択肢はあってもいい。テロ特措新法案もだし、今国会では一つも法案が成立していない。この異常さの打開にも「自民と民主の連立」は必要ではないのか▼もっとも、これほど大切なことを小沢代表は、党の執行部に相談していない。この「独断」と党内への地ならしを怠ったのが猛反発となり騒ぎが大きくなった。自分が決心すれば、総理大臣にも就任することができたし、宮沢元首相も小沢氏の「引見」?を受けて合格し初めて自民党総裁になれたのだから―、その意味ではまさしく政界の実力者なのである▼それにしても、このドタバタ劇はおかしい。党役員が「大連立」に反対したのを「不信任にひとしい」と辞任を表明したのに3日後には「続投」である。しかも、「連立はしない。総選挙で頑張る」と、いともあっさりの逆戻りでは、民主支持者も戸惑っているに違いない。いや、民主党にサユナラが増えるのではないか。 (遯)