ニッケイ新聞 2007年11月13日付け
カチア・アブレウ上議(DEM=民主党)は十三日、暫定金融税(別名=小切手税)の期限延長に関し同税の廃止を要請する意見書を上院法制委員会へ提出したとエスタード・デ・サンパウロ紙が報じた。同意見書は「政府が同税の期限延長にこだわるなら、別の資金源から医療や社会福祉資金を捻出する方法がある。同税は国庫にとって四百億レアルの財源というが、同資金を収入予算に計上しなくても、政府には純歳入の二〇%を自由に使える権限があり、それを同目的に充当すればよい」としている。
小切手税は、PSDB(民主社会党)の支持取り付けが山場と政府は思っていたようだが、決着のつかぬままDEMが新たに切り込んできた。意見書の上程者アブレウ上議が「同意見書は政治的な感情的なものではなく、理路整然とした内容だ」と述べた。
DEMが突きつけた小切手税廃止案は、ルーラ政権伝家の宝刀「生活扶助金制度」廃止を意味している。意見書では、小切手税の代替として政府が自由になる純歳入の二〇%(DRU)を充当せよと指示した。しかし、DRUは二〇〇九年、教育費へ充当することになっており、生活扶助金の資金源は事実上なくなることになる。
生活扶助か教育か、政府は二者択一の選択を迫られている。生活扶助金は人気取りと政権存続に効果があるが、人間の労働意欲と向上欲を殺ぐ。教育は、ブラジルの将来を背負う人材を育てる手段だ。
二〇〇七年はDRUの一八%を教育費へ充当し、ちょうど四百億レアルになった。それを二〇%も充当すると、さらに七十億レアルをつぎ込まねばならない。政府は公務員給与の百四十五億レアルを調整し、百七十億レアルをつぎ込み資金不足となったのだ。
同意見書は、小切手税がなくても生活補助金や医療制度を続け、公共工事と経済成長に支障を来たさない。それは、予算責任法でPEC(憲法補足法案)を小切手税の代替にするよう謳っているからだ。小切手税は、低額所得者に重く高額所得者に軽い悪法だ。脱税防止が目的なら、シンボリックな低率にすべきだという。