ニッケイ新聞 2007年11月13日付け
高野山金剛流合唱団(山本文昭団長)の公演「曼荼羅の響(まんだらのおと)」が十一日午後、文協大講堂で行われ、会場を埋めた千人を超える来場者は荘厳な御詠歌の響きに酔いしれた。
曼荼羅の掛け軸が左右に掛かったステージで十五人の団員らが鈴鉦(れいしょう)といわれる鉦を伴奏に様々な和讃のほか、「ふるさと」などで美しいハーモニーを響かせた。
金剛舞踊の踊り手の女性が華麗な舞を見せ、音楽と調和した曼荼羅世界を表現した。
山本団長は、「この世に生まれた必然のなかで、縁を大事に全てに感謝して生きていきましょう」と話し、呼吸法などを含め歌唱指導、『相互供養和讃』を会場と共に歌った。十二曲が披露された約一時間半、来場者らは静かに耳を傾けていた。
団長は、「一緒に唱えることができた。御詠歌を知ってもらういい機会になったのでは」と公演後、笑顔を見せた。
神戸商船大学(〇三年に神戸大学と統合)の学生時代、移民船に携わった学校関係者から、ブラジルの話を聞いており、かねてから訪伯の思いを温めていたという。
今回の訪問前も日中国交正常化三十五周年を記念し、中国で公演。「伝統を守りながらも他楽器とのセッションなどにも挑戦し、公演活動を続けていきたい」と語った。
「来伯三回目にして、夢が叶った」と感慨深そうに話すのは、前田友義副団長。祖父宥昶氏が一九三〇年代に宗務総長として来伯。そのときの体験について、父義明氏を通じて聞いており、「真言宗を信仰している人や日系の方に御詠歌を聞いて欲しい」と長年願ってきたという。
子供の頃から御詠歌を唱えてきたという木葉恒子さんは、「涙がでた」と上気した様子で話した。
民族音楽グループ「マワカ」のメンバー、マグダ・プッシさんは、「安らかな気分になった。素晴らしい音楽」と絶賛、関係者に御詠歌の由来などを質問していた。