ニッケイ新聞 2007年11月14日付け
検察庁と連邦警察は十二日、アラゴアス州の公共工事における談合疑惑で容疑者二十人を拘束とエスタード・デ・サンパウロ紙が報じた。一味は過去四年間に、五十五郡の干ばつ対策や簡易住宅の建設資金、衛生などのインフラ工事資金のために連邦政府が交付した資金二千万レアル以上を横領した。損害額が最も多いのは、カリェイロ上院議長の子息が市長を勤めるムリシ市などだ。カリェイロ一族につながりを持つ市から工事を受注するため、幽霊会社も設立されていた。
公的資金の横領は、保健省や社会統合省、都市計画省、教育省、農地改革省、観光省などに及ぶ広範囲なものであった。捜査は五十五郡に及んだが、最も悪質な十二郡に絞って立件を急いでいる。損害額は現在、判明しているだけで二千万レアルに上った。
拘束された容疑者の中に、ラセルダ建設代表のロナウド・ラセルダがいる。同容疑者は幽霊会社を設立し、上院議長と同議長の弟下議から受注の仲介あっ旋の労を受けていた。
連警によれば、アラゴアス州は四つのグループによって談合が繰り返されていた。一味は、政治家と企業家、連邦カイシャの管理職、市議会議長多数、市公共工事課長、市衛生課長、アラゴアス州政府高官などが加わっていた。
ことの発端は、連邦監察庁(CGU)が同州の公共工事に談合の気配を感じたこと。盗聴許可を取って調べたところ、三十人の談合仕切り人と工事の水増し請求、幽霊工事が次々出てきた。入札に参加した各社の見積書は、筆跡が同じことから一人の人間が作成したものであった。
捜査は第二段階に入り、公的資金の交付責任者洗い出しに入る。ここには、多くの政治家や政府官僚の関与がある。拘束された二十人は、小物である。資金交付には、政治家の補足案上程と議会承認が要る。さらにどの政党が、関与したかもだ。まだ上院議長の膿は、出てきそうだ。
検察庁は、上院議長と一族に挨拶した人間も虱潰しに調べることになりそうだ。これからは、上院議長の家の前も、ウカウカ通れないようになる。談合の関与者は全員、資産明細の内容と入手の経緯を国税庁によって調べられる。