ニッケイ新聞 2007年11月14日付け
サンパウロ市証券取引所(ボヴェスパ)は先週の世界同時安を運よく逃れたものの十二日、世界の横ばいに対し逆のマイナス四・三四%と、今年最大の下げ幅を記録した。特に下げたのは大油田発見で沸いていたペトロブラス株と時代の寵児ヴァーレ・ド・リオドーセ株で、ボヴェスパの株式指数を引きずり下した。
ペトロブラスはON(普通株)で七・一九%、PN(優先株)で六・五〇%下げた。理由は、第3四半期の決算が芳しくないという。それに原油と金属コモディテイ市場の値下がりが追い打ちをかけ、両社に暗い影を落とした。
ヴァーレ株はONが五・三五%、PNが四・八九%と各々下げた。両社だけで十二日の総取引六十六億五千万レアルの四九%を占めた。ペトロブラスは大油田発見で買いが殺到し高騰したが、これで正常値に戻ったらしい。
ペトロブラスは九日夜、第3四半期の決算を発表。多くの投資家は当期営業益に七十億レアルを期待していたのに、五十五億レアルと提示されたので失望したようだ。そこへ逆風の原油値下げの報が入った九日の夜、ペトロブラス株売りの大勢が決まった。投資家は、夜もオチオチ眠れない。売り逃げた者は、一七%儲けたらしい。
それにしても十二日の暴落は、予想以上であった。大損をした人は、年末までトゥピー大油田の続報を待つことだ。技術者が深海の油田は高価になるというが、経営者は次々手を打つ。ペトロブラスのガブリエリ総裁は「深海の油田採掘資金は充分ある」と強気発言だ。原油の需要も年末は急増するので、国際相場は盛り返すという。
「大油田があるなら、金を借りたらよい。合弁の英系BGやポルトガル系のGalpが、お金を持っている」原油の国際相場が下がると、油田開発は熱が下がる。国際情勢が緊迫すると、新油田に投資が集まる。ガザやイラク、イラン情勢は地元民には気の毒だが、漁夫の利を狙う者らも多勢いる。