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上院法制委=小切手税延期案、僅差で承認=政府、懐柔策で辛勝=予断許さぬ本会議攻防戦=同税の代替財源探しは必至

ニッケイ新聞 2007年11月15日付け

 上院法制委員会(CCJ)は十三日、暫定金融税(別名=小切手税)の二〇一一年までの期限延期を承認とエスタード・デ・サンパウロ紙が報じた。連立与党は、これでアブレウ上議(DEM=民主党)から上程された同税廃止案を取り下げたことになる。また同延期案に反対した上議二人に代理人を入れ替えて賛成十二票、反対九票で承認を取り付けるハプニングもあった。これで同税延期案は上院本会議へ回され、上議八十一人のうち四十九人の賛成票を取り付ける必要がある。
 政府は、小切手税の序盤戦に辛勝した。しかし、本会議は予断を許さない。上院法制委員会は六時間にわたる攻防戦の末、同税廃止案を葬ったが杞憂を残した。新たな政府支持の強化をすることなく、シモン上議(PMDB=ブラジル民主運動党)とペレス上議(PDT=民主労働党)、カヴァウカンチ上議(PTB=ブラジル労働党)の行方を不明にしたから。
 政府はCCJの承認を取り付けるため、十三日間に二億六七八〇万レアルを交付した。二〇〇七年では、最大の大判振る舞いだ。同税廃止案を上程したアブレウ上議が、本会議は代理投票などの姑息な細工をしないで、誇りあるブラジル共和国の上議として投票することになると述べた。
 小切手税延期案の承認に必要な四十九票は、四十六票が精一杯という見方が多い。下院の小切手税承認で政府は、債務決済が遅れている地方自治体への資金交付を約束し、反古にした借りがある。政府は財務管理が杜撰なくせに、法案通過のため空手形を乱発する体質がある。
 政府は連立関係にあるPMDBとPDTに、税率を毎年〇・〇二%減率し、月収二八九四レアル以下を免税にすると譲歩し、政府案支持を取り付けた。これで税収は来る四年間、二三二億レアル減収する。
 セーラサンパウロ州知事が「税率の段階的切り下げは非合理的で、ルーラ大統領の後継者に頭痛の種を残す」と述べた。これは自分の任期中だけを考えて、次期政権など眼中にないことを意味する。政権継続を考えるなら、直ちに小切手税は諦めるべきだという。そうしないと次期政権は就任早々、二〇〇億レアルの減収と財源探しに奔走させられる。