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百周年=ブラジル浪曲協会復活へ=浪曲祭りを来年4月に開催

ニッケイ新聞 2007年11月15日付け

 カンピーナス在住の樋口四郎さん(月若)によれば、ブラジル浪曲協会が十年近い休眠状態から醒め、慶祝百周年記念「浪曲・日本文化の祭典」を来年四月十三日に、ブラジル日本文化福祉協会の記念大講堂で開催することが決まった。
 元会長の樋口さんは、日本の浪曲協会からは「寿々木米春嬢(ささき・よねはるじょう)」が二度目の来伯をすることも決まった、と満面に笑みを浮かべて語った。
 樋口さんは「今はテレビ、インターネットの時代となり、浪花節は時代遅れの代物と諦めていた」との気持ちを吐露する。ブラジルで浪曲は「カンタ・ブラーバ」と言い習わされ、大正、昭和初期時代、大衆芸能として栄えた。かつては移住地の宴会の席ともなると一人や二人は口演して悦ばれた時代があった。
 浪曲仲間が九月に百周年の話をしていたとき、(故)花中軒水月師が話題にあがり、彼が自作自演で各地を廻り公演して来た移民史「あゝ拓魂」(上塚周平翁物語)をやる人は居ないかとの話になった。樋口さんは会員数人に相談しようとしたが連絡先が変わった人もあり、集まったのは三人だけだった。
 集まったメンバーで話し合った結果、「百周年祭の機会に大いにやろう」との話がまとまった。昔の様に浪曲、舞踊、演劇、民謡の祭典にしようと日系団体に協力要請を試みたところ、「全団体より良い返事を頂き勇気百倍、善は急げ」となった。すでに丹下セツ子さん初め花柳龍千多さん、京藤間流、なでしこ会も出演を承諾しているという。
 動き出した当初は開催費用が工面できず苦労していたが、ある匿名の篤志家が「文協記念大講堂」を条件に協力してくれることになり、「一気に実現の運びとなった」と喜ぶ。
 樋口さんは「今まで私たちの主催では大成功の実績がある。協力者の動員にも自信があり、これから誠心誠意、練習に練習を積んで当日を迎える様、日夜努力に務める事を一同誓い合っております」という。
 さらに、「来年移民百周年祭の皮切りに大衆芸能浪花節で幕を開けたいと意気込んでおり先駆者の御霊に対し追悼の誠を捧げなければなりません。愛好者はもとより、一世・二世の皆様のご期待に添える様、浪曲協会では新しい会員(浪曲家)の連絡を待っております」と呼びかけている。
 現在、ブラジルには浪曲に合わせた三味線が弾ける人がほとんどない現状であることから、この祭典の前後には、日本からの派遣講師による曲師の養成講座も行う予定になっている。
 浪曲や三味線を習いたいという人は、藤瀬さん(=11・3208・6404)、または樋口さん(=19・3242・2251)まで連絡を。