ニッケイ新聞 2007年11月17日付け
サンパウロ市東部のパリ地区に近日中に開業予定と大々的に報じられたショッピングセンター(十三日付エスタード紙)が、その報道の翌日、十四日朝から当局の摘発を受け、海賊版商品等、トラック一〇〇台分の物品を押収されるとともに封鎖され、持主も逮捕された。
逮捕されたのはヴィンテ・エ・シンコ・デ・マルソ街の王の異名を持つラウ・キン・チョン氏。二〇〇四年に違法商品の取締りにあたる当局者への贈賄容疑で捕まり四年の刑を宣告されたが、今年六月に日中の自由行動が認められ、ショッピングの開設準備を進めていた。十五日付伯字紙各紙はこぞって、摘発の現場に駆けつけたサンパウロ市長カサビ氏の「おまえなんかこの町には居て欲しくないんだ」、「おまえが無法者だということは誰もが知っている」との罵倒の言葉を報じているが、そのショッピングセンターが区役所の認可を得て開業予定であったことが不思議でもある。
ショッピングセンターはカメローと呼ばれる屋台や路上商人たち二〇〇〇人を網羅する三万平方メートルの敷地(売り場面積二万平方メートル)。四〇〇台の車と一五〇台のバス用の駐車場や長距離で買物に来た人用の休憩所まで用意されていた。当初は一時から一八時まで開業、その後はサンパウロ市初の二四時間営業のショッピングセンターとなるはずで、一日一万人の利用者が見込まれていたが、地区役所長は「ラウ氏の息のかかったものであるとは知らなかった」し、「路上商人たちを、日のあたる仕事につかせてやりたかったのだ」という。その地区役所長も現実を前に「違法商品を路上から取り去り、ショッピングに移すなどという事は認められない」とし、「開業前でこの状態ならば、開業後は推して知るべし」と。
今回の摘発は、建物そのものや押収物品の違法性などが問題にされたほか、ラウ氏の資金洗浄(マネーロンダリング)に関わる書類押収もなされた。