火の車の自治体財政=8割は十分な財源なし
ニッケイ新聞 2007年11月20日付け
十八日付のエスタード紙に、「五つの自治体につき一つの自治体だけが施政のための財源あり」との見出し。逆にいえば、八割の自治体は十分な公共サービスを行うだけの財源を持たないということになる。
この数字は、二〇〇六年の実態調査結果であるが、各自治体の住民一人当りの収入(市民税他、州や国からの補助金等も含めた総計)を調べたところ、一人当たり年間七五〇レアル未満の貧困、極貧とされる自治体が二三・一三%、七五〇以上一五〇〇レアル未満が五六・三七%、一五〇〇レアル以上の良い、最上が二〇・五%という。
自治体毎に配分は違うだろうが、一人当たり一五〇七レアルのサンパウロ市でも市の薬局の九四%には薬剤師不在(十月十五日付エスタード紙)で、市民病院も不足している。全伯でも、上下水道の不備に起因した病気で死亡する子供が一月二一〇人(十月四日本紙既報)など、保健衛生部門だけ見ても、公共サービスは決して十分とはいえない。
いっぽう、十七日のエスタード紙には、国家予算の三〇%は保健関連とされていた枠がはずれ、来年の観光予算は保健関連予算より大きくなると。それでいけば、少なくとも来年度の国家予算から自治体への保健衛生関係の支給分はさらに減るとみられる等、各自治体の健全な財政運営が求められる。
ただ、自治体収入額がそのまま住民の満足度にはつながらないところもある。例えば、自治体としての収入の最も多かったパウリニア市(サンパウロ州)は一人当たり九九七三レアルの収入。石油精製施設があるため大型の税収入があるのだが、住民はその恩恵を受けているという実感はない。「払うものが多すぎて、支払いが遅れているものさえある」、「誰もそんなお金なんか見たことがない」と市民は嘆く。
いっぽう、最低収入のマラニャン州のパッソ・ド・ルミアル(一人当たり二九六レアル)では舗装道路は州道も含め二つ、警察と保健所も一つずつで、病院や薬局は少なくとも七キロ先にしかない。それでも「俺はここで生まれ、ここで育った。何で出て行く必要がある?」と。
各々の自治体毎の実情に合った施政が行われているかどうかだが、自治体の財力と住民の幸福度は必ずしも一致していないともいえそうだ。