ニッケイ新聞 2007年11月20日付け
日本の全国老人クラブ連合会は、育成功労表彰者として、ブラジル老人クラブ連合会顧問を務める、朝枝定さん(81、山口県出身)を表彰した。日本全老ク連からの表彰を受けるのは、田中丑子(つかね)ブラジル老ク連初代会長、杉村正理事に続き、ブラジルでは三人目。朝枝さんはビラ・ソニア老人会の会長を十三年間にわたって続けており、本部の理事、会長としてもクラブに献身してきたことが、今回の表彰につながった。八百万人の会員、十二万のクラブの中から栄えある功労者に選ばれたことについて、朝枝さんは「私のようなものがいただくとは、名誉あること」と謙遜し、「感謝の気持ちでいっぱいです。表彰状は家宝として保管したい」と感激を話した。
朝枝さんは一九三六年に十歳で渡伯。ノロエステ線リンスに入植した。二十歳から、養鶏の雌雄鑑別師としてコチア産組で働き、バストスなど各地の孵化場をまわった。鑑別師育成にも貢献した。
「当初は九〇%(雌雄が)合っていればよかったのが、九八%にまで上がってきてね」と、朝枝さんは当時を振り返る。コチアには四十四年間勤め、退職後から老人クラブに参加し始めた。
ビラ・ソニア老人会では入会してほどなく会長に推された。九四年から今日まで続けている。「いろんな方法で会員を増やすようにやりましたよ」。ダンスやゲートボールなど、人が集まる方法を考えてきたという。
本部では九四年から理事、副会長を経て、〇一年に会長に選ばれ「会費のことで頭を悩ませた」。本部と地方で会費に差をつけ、「地方の人も参加しやすいように」と工夫。現在でも続けられている制度のひとつだ。
朝枝さんは「私が力を入れなくても、皆のおかげでひとりでにうまくよくなってきた」と、自身の功績をあまり多く語らないが、老ク連事務局は「朝枝さんはぜひ表彰を受け取ってもらいたかった人」と受賞を手放しで喜び、「社会組織の中で務めてきた人で違う。新しいことを考え出す、不言実行の人」と絶賛。
会長時代には、各会代表を集めてレクレーション講習会を開いたり、講師を支部へ派遣したりと「細かいところに目がついた。できることを着実にする人」とその評判は高い。
朝枝さんは、はにかみながら「これだけ信用されるようになったということかな」と話し、「今後も協力していきたい」と笑顔を見せた。
十月十一日に新潟で行われた第三十六回全国老人クラブ大会で表彰式があり、約二千人の会員が集う中、内山卓人会計が代理で賞状と記念品を受け取った。朝枝さんには、今月十六日の代表者会議の席上、重岡康人会長から賞状などが伝達された。