ニッケイ新聞 2007年11月20日付け
日系農協の活性化・アグリビジネス提携などを目的に、全国農業拓殖協同組合連合会(JATAK)は昨年、ブラジル農業拓殖協同組合中央会(農拓協)に委託して、日系農協調査を実施した。コチア、南伯崩壊により、農協相互の現状が見えにくくなっている今、将来の可能性を模索する重要な資料として、関係者各位に資すことを期待したい。調査に当たったJATAK農業技術普及交流センター田中規子情報部研究員の投稿を三回に分け、掲載する。
昨年、JATAKサンパウロ事務所が事業主体となり、農拓協へ委託して実施したブラジル日系農協調査結果をもとに、「二国間農協連携促進事業」報告書がJATAK東京本部にてまとめられた。
エタノールなど国際商品の需要拡大でブラジル農業が世界から脚光を浴びる一方、中小農家が参加する日系農協は国内農産物の価格低迷や為替差損など苦境にあえいでいる。
こうした状況を鑑み、日系農業者の支援を目的とするJATAKは、日伯農協間アグリビジネス提携を通じて日系農協や日系コロニアの活性化を進めようと、ブラジル全国に所在する日系農協の経営・活動状況調査を農拓協に委託した。
調査は、二〇〇六年七月~十一月にかけて農拓協調査員平延渉氏、上本ジューリオ氏、JATAK農業技術普及交流センター田中規子研究員の三人で行った。
調査対象となった組織は六十一農協、一中央会(農拓協)の合計六十二組織であったが、内十五農協は活動停止状態にあり回答を得られなかった。
他方、一九九四年のコチア及び南伯二大日系農協中央会解散以後、農協組織よりも設立が簡易な協会を新たに組織し、農技術指導など農協と類似する活動を行ない、地域農業の中心的存在となっている例もある。こうした協会も調査対象として加えた。
活動中の各組織の所在はサンパウロ州が二十九と最も多く、サンパウロ市二百キロ圏内に集中している。
次いでパラナ州五、ミナス州五、南マット・グロッソ州四、バイーア州三、サンタカタリーナ州二、アマゾナス州一、パラー州一、ペルナンブーコ州一、リオデジャネイロ州一となっている。
最終的には四十六農協、六協会、合計五十二組織を農業生産、販売、資材購買などを行う組織とし、日本とのアグリビジネス提携への可能性、意向などをまとめた。(つづく)