ニッケイ新聞 2007年11月22日付け
国際決済銀行(BIS)の定例会議に出席したメイレイレス中央銀行総裁は二十日、ブラジルの通貨政策を自画自賛したが、特に米経済の減速による不安定な金融市場に備えるため、各国は財政の態勢強化が急務であると述べた。
「途上国は、一九九七年と二〇〇一年の金融危機でみそぎを受け財政強化は手配済みである。今度は、先進国の番といえる。ブラジルは、国内市場が成長し投資や消費水準も向上した。雇用創出や所得、クレジットの決済能力好転が強味だ」と総裁がいう。
これから世界が取り組む課題は、原油高騰と食糧インフレだとした。原油と食糧を占うコモディテイ市場は、暴騰や暴落が不意に襲う。そして全産業に影響を及ぼすので、市場安定に向けたラウンドの設立が期待されている。
ブラジルなど途上国の財政状態が、米国発の金融危機に賢明に対応したことで、今後のグローバル経済は先行きが明るい。特に中南米やアジア、アフリカ諸国の経済担当者による適切な対処は、特記に値する。過去のアジア金融危機が、教訓になったようだと総裁は見ている。