ニッケイ新聞 2007年11月23日付け
ブラジルの刑務所の収監者が非人道的な扱いを受けていることを国連が問題視し、どのような形で改善がなされるかと言っている(十五日付本紙で一部既報)最中に、またしてもショックな報道がなされた。
パラー州の一五歳の少女が盗みで捕まり、二〇人の男性とともに一五日間(二十一日付エスタード紙による。フォーリャ紙では少なくとも二十六日と報道)一つの房に拘留されたというもの。面会者のある日だけが安心できる日で、面会者の目を欺くために髪を切られたり、強姦されたりしたほか、食べ物を確保するために性交もしたという。少女は十七日に留置所を逃げ出し、児童相談所に保護されたが、児童相談所によれば、警察官からの脅しもあったという。
この報道は、かなり衝撃的であったらしく、パラー州知事は、早速、担当した警部ら三人(うち一人は女性)を更迭。女性用の留置場がない町で起きた事件にもかかわらず、知事自身は、女性が男性と同じ房に拘留された事例は知らなかったという。「女性として、また知事として大きなショックを受けた」という知事は、このような事件は今回に限ったものではないと考え、同じ過ちが起きないためにも詳細を調査するよう命じたという。
また、二十二日付エスタード紙によれば、下院の人権委員会も議員たちを現地に派遣する予定であるほか、同州選出の上院議員たちも州の実情を愁る声を上げている。その他、同日のフォーリャ紙が、大統領府の女性政策担当者はこの件は女性の権利への冒涜だとし、弁護士協会の会長も「ブラジル法体制への重大な攻撃だ」と位置付けたと報じた。
少女の年齢については、生年月日の違う書類がいくつか提出されており、貧困扶助を受けるための偽造書類もあるとされているが、少女の生活実態等を差し引いても、「不潔で窒息しそうな房」に「何万人もの拘留者がおり」、「拷問ないしは非人道的な扱いが広範に組織的に行われている」といった国連の報告書は訂正されるべくもない。エスタード紙によると、ブラジル政府が二十一日、拷問問題についての国連報告書全文をポ語に翻訳の上、公表することを求めたという。