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セラミック美術追求=藤本さん=選ばれオランダで研修へ

ニッケイ新聞 2007年11月23日付け

 現代アート作家の藤本セザール洋一さん(26、二世)が、オランダのデンボッシュ市にある「ヨーロッパセラミックワークセンター」の研修制度に参加するため二十四日、同地へ出発する。来年三月まで滞在し、セラミックの基礎技術などを学び、最後に展示会で作品を発表する。
 藤本さんによれば、「カントリープロジェクト」と呼ばれる同制度は、毎年外国から一国を選び、四人の芸術家を招いて研修を実施するもの。藤本さんは今年八月に正式な参加を決めた。
 藤本さんはサンパウロ市の美術大学(Centro Universitario Belas Artes de SP)を〇四年に卒業後、同大学教員で版画家のエレーナ・フレッド氏のもとで助手を務めた。昨年からは庭園デザインの仕事を手掛けるかたわら作品を制作してきた。
 昨年サンパウロ市文化センターで開かれた『第二回作品展示プログラム』には約六百人の応募者の中から十八人の一人に選ばれた。二十一人が参加した同センターの『二〇〇六年総括展』にも出品し、それぞれレンガや芝生など身近な素材を用いた独創的な作品を発表した。
 藤本さんは日本移民百周年を記念して、同文化センターで来年一月から始まる展示会にも他の日系芸術家五人とともに参加する。作品名は『レスピラドーレス(呼吸するものたち)』だ。
 展示場所である凹型の白壁に、石膏でかたどった真っ白な〃マスク〃を九十個ならべるもので、「呼吸という人間にとってあたりまえのことを気付いてほしい」と藤本さん。全体を「白」に統一したのは、観る人に注意を呼びかけ、「見えるけど見えないこと」を表現したいからだという。
 同作品はオランダ滞在中での発表になるため、作品の展示と組み立ては開催前に友人に頼む予定だ。将来の夢については「哲学や建築などいろんなことを勉強して教員になれたら」。そう落ち着いて話した。