ニッケイ新聞 2007年11月24日付け
ワウフリッド・M・ギア憲政相は二十二日、ソウザ検事総長が裏金疑惑への同相関与を告発したため辞任したと二十三日付けエスタード・デ・サンパウロ紙が報じた。後任には、ジョゼ・ムーシオ下議(PTB=ブラジル労働党)が就任。検事総長の告発には十五人が名を連ね、主犯は同相とアゼレード上議(PSDB=民主社会党)としている。裏金は同上議が一九九八年、ミナス州知事再選の選挙で動いたもの、金額は三百五十万レアル。同裏金の配布で同相が、指揮を採ったという。
検事総長の告発は、同相と同上議が公金横領と資金洗浄の主犯、他十三人は共犯の容疑。公金の横流法を考案し、合法資金かのように細工をして選挙費用に充てたという。告発では、同相がかつて同上議の右腕で選挙参謀を努め、資金調達で辣腕を振るったという。
ここでもヴァレリオ容疑者が、関与した。資金の流れはPT(労働者党)の場合と同じで、ミナス衛生公社とミナス鉱山会社、ミナス州立銀行の三社から横領し、ルラル銀行が融資をしたように偽装した。PTと違うのは、足跡を多数残したことだ。
PTのほうが少し知能犯だが、同相は新米のようだ。資金調達のシステムは同相の発案で行われ、流れも指示したと、検事総長がいう。同相を辞任に追い込んだについては、自業自得という。今回の告発劇では、元知事時代の政府高官や現州政府の高官などが芋づる式に洗い出された。
いっぽう憲政相を辞任したギア氏は「告発は事実無根である」と声明を発表。これから法廷で争い、身の潔白を証明するという。根拠のないことで告発され、閣僚の任を追われ名誉毀損だと訴えた。
ギア氏の知人らは、告発を不可解とした。ギア氏は資産家で政府に無関係であった。公金を横領できる立場にないし、公金を横領しても見返りはない。告発は単なる推測というのが、知人らの見方。また選挙参謀などしないし、上議に政治的なアドバイスを提言しただけというのだ。
ルーラ大統領は辞表を受け取り、内心ホッとしたようだ。小切手税の延期承認がてこずっていることで、裏金問題は厄病神であった。実力者でありながら辞任に追い込まれたロンデウ前鉱動相を連れ戻すよう同相に頼んだが、手間取ったため同相の交渉力を見限ったらしい。