ニッケイ新聞 2007年11月24日付け
サンパウロ州財務局と保安局は二十二日、監督官や軍警五千百人を動員し、車両税(IPVA)の一斉検査を行ったと二十三日付けフォーリャ紙が報じた。一斉検査は、車両税の滞納やクローン車検などを摘発するものであった。特に目立ったのは、他州の車番でサンパウロ州内を運行するレンタカーが意外と多いことだ。
サンパウロ州に居住し、他州で車両税を支払うケースが多い。そのためサンパウロ州が徴収できない車両税は、年間十億レアルに上るようだ。サンパウロ州の車両税は車両評価額の四%で、他州より割高なことが原因らしい。
そのため自動車を購入すると、所有者は車両税が一番割安の州で車検を取得する。例えばパラナ州は、IPVAが二・五%である。トカンチンス州は初年度が免税で、二年目から年一%だ。サンパウロ州に在住しながら、パラナ州やトカンチンス州の車検で、自動車を運転している。
一斉検査で点検を受けた自動車は、二万三千三百六十九台。車検を没収された自動車は、一千八百二十六台で、サンパウロ州に居住しながら他州で車検を取得したか、架空の住所を使ったもの。これらの偽住所は、車検の手続き業者が両州の住所録を持っていて適当に振り当てた架空の住所だ。
架空の住所で車検を取得した車両所有者は全員、最寄の警察署で始末書をとられた。これらは後日、公文書偽造罪で起訴される。他州の車番を付けていた自動車は、所有者の住所を確認される。サンパウロ州の住人であれば、脱税と公文書偽造罪で起訴される。
サンパウロ州条例によれば生活の拠点がサンパウロ州内にある場合、サンパウロ州への納税が義務づけられている。レンタカーの場合は、サンパウロ州交通局が違法条項を提示する。生活スタイルの変化によりレンタカーが増えたのは、当局も意外に思ったようだ。
このタイプの検査は州間でデータの情報交換をすれば、街路に出て自動車を止めなくても一目瞭然のはず。IT時代にしては、野暮で非能率的な検査振りだ。自動車の所有者は、停車を命じられたことによる損害賠償を州政府へ要求すると抗議している。