ニッケイ新聞 2007年11月24日付け
大学受験の時期だが、二十三日のフォーリャ紙に、高校生卒業予定者と卒業者とを対象とした国家高等教育試験(Enem)の結果報告が出ていた。
今年八月に行われた全国試験には、高校卒業予定者七九万五〇〇〇人と、卒業者一二九万七八一〇人が挑戦した。全国の平均点は選択式(各分野の質問に対する答を選択肢から選ぶタイプ)が五二・四七、作文が五六・四一で、昨年の選択式の平均三五・五二よりもアップした。
しかし、手放しで喜べないのは、昨年は公立校生徒と私立校生徒の平均点差が、選択式で一七から一三点、作文で一一点であったものが、今年は、作文のほうは五四・八四と六二・七五で差が縮んだものの、選択式では四八・三〇と六八・七二と差が広がったこと。高校三年間の半分以上を私立校で過ごした生徒も作文の平均が五九・一一で、私立校のみで学んだ生徒との差が出ている(卒業予定者中、学んだのは公立校のみの生徒は六〇万二〇〇〇人、私立校のみの生徒は一四万九〇〇〇人)。また、学力差には地域差もあり、南伯の平均五六・八八に対し、北伯、東北伯は、四四・八八と四七・六七であった。
ちなみに私立校の最良は、選択式では連邦特別区の七三・三〇、ミナス州七二・三五と続き、サンパウロ州は七〇・七六で四位、作文ではバイア州が六五・五九で最良、サンパウロ州は六四・七九で二位だった。最悪はロマイラ州。選択式五六・二、作文五九・五二だった。
これに対し、公立校の最良は、選択式、作文ともリオ・グランデ・ド・スル州で、五四・六一、五九・七四。公立校生徒の成績では、サンパウロ州は選択式八位(四九・二七)、作文一四位(五四・五九)だった。
この公立、私立校の学力差について、カンピーナス大学教育学部教授は、公立校では、受験といった明確な目標が確立していないことが最大の原因で、一教室当たりの生徒数や、学校で過ごす時間や活動などの条件の改善も必要だという。
その他、十一日のフォーリャ紙に、サンパウロ州では公立校の教師の欠席率は一二・八%にのぼり、私立校の一%未満と大きな開きがあることが報じられていたことも無関係ではない。もちろん様々な要因があるが、教師側が労働条件等のせいで動機付けが弱く、欠席が増えるいっぽう、生徒の学力や動機付けの程度は教師の皆勤率と相関関係があるといった研究、教育先進国では教師が高く評価されていることや教師養成への投資等が言われていることも公共教育政策への警鐘となる。教育は国づくりの基礎。初等教育からの根本的見直しが求められる。