ニッケイ新聞 2007年11月27日付け
米州機構(OAS)が女性擁護団体から受け取った報告書によれば、留置された女性が性的暴力を受けたのは五州以上もあることが二十五日、判明と二十六日付けフォーリャ・デ・サンパウロ紙が報じた。判明したのは、リオデジャネイロ州とバイア州、北リオ・グランデ州、マット・グロッソ州、ペルナンブッコ州など。犠牲者らは直訴しても聞き入れてもらえなければ、さらに酷い仕打ちを受けるので黙っていたという。
パラー州アバエトゥーバ警察署の留置所に、二十人の男性留置者といっしょに留置された女性未成年の事件で、新たな事実が次々明るみに出てきた。留置所内における性的暴力に関する訴えは三月、OASによってブラジル当局へ対処するよう要請したもの。当局は三月以来、同ケースを黙視してきたといえる。
同報告書によれば、マット・グロッソ州アマンバイ刑務所の房は男女別であるが、男性職員が毎日他の女性受刑者の前でことに及んだという。北リオ・グランデ州は、女装趣味者や未成年と同居。女性職員のいない女性刑務所は国内に多数あり、男性職員の婦女暴行は日常茶飯事のようだ。
サンパウロ州ウバトゥーバ刑務所は報告書に記載されていないが、女性服役者五十二人と男性服役者九人が別房で服役し、面会日は人目に付かないよう窓なしワゴンの中へ押し込めた。
報告書は二〇〇六年の実態に基づいたものであり、制作には裁判所や全国刑務所司牧連盟、国際人権団体、女性服役者保護団体が協力した。従って二〇〇六年から当局は、婦女暴行の事実を知りながら何ら手を打たなかった。他にも現場からの直訴はあったはずだが、当局は聞く耳を持たなかったようだ。
バイア州では二人の女性受刑者が、妊娠した。パラー州では同居の男性受刑者が食事を隠し、性交を強要した。暴行ではなくても、格子越しの性交は珍しくない。女性服役者の片手に、手錠をかけて就寝される刑務所もある。
これらの事実に対し当局は、女性服役者を収容する所がないため一時収監ということは再々あるという。当局が恐れるのは、女性の一時収監を知った男性服役者が、はけ口を求めて暴動を起すことだと述べた。パラー州の女性知事が、一時収監ならやむを得ないというに至っては処置なしだ。