ニッケイ新聞 2007年11月27日付け
タイに日本の女性が運営する「ホ―ム」がある。あの国にはエイズ感染者と患者が多い。そのためもあってに妊娠し赤ちゃんを出産するケ―スもかなりある。そして―母は死亡し、孤児が残される。邦人女性は、こうした母のいない子らを80人ほど集め育てているのだが、「孤児院」と呼ぶのを嫌い敢えて「ホ―ム」としているそうだ▼今やエイズの被害は大きい。国連の発表にはブレもあるけれども、最新の情報では世界のHIV感染者は3300万人、死者は210万人に及ぶ。これは1年間の数字だからいかに凄いかが解る。あの大東亜戦争で戦死した日本軍兵士は240余万でありHIVの死亡210万人は途方もないとしか申しようがない。しかも、未だに完全治療の医薬品はない▼周知の通り、エイズ禍が最も酷いのはサハラ砂漠以南の地域であって南アフリカもだしあの一帯の惨憺たるありさまは筆舌に尽し難い。感染者は2250万人とされ、死亡者も180万人に近いのではないか。次が南アジアと東南アジアであり。国連報告では約400万人。タイを始めインドや中国でも急増している現状にはもっと注目されていい▼日本の現況も、感染者が1000人を超しており深刻さを増している。小泉首相が「世界エイズ対策」にと5億ドルの緊急支援をして取り組みに懸命なのだが、エイズウイリスの「侵攻力」は強い。タイでは、売春は禁止されているけれども、風俗営業店で働く女性に「コンドーム装着」の運動を繰り広げ効果をあげているが、ここまでやらないと完全予防は難しい。勿論、エイズを退治する医学にも期待したい。 (遯)