ニッケイ新聞 2007年11月28日付け
文協七十五周年の取材でヴァルゼン・グランデを訪れた。市内を通る街道の車線拡張が終わり、以前と風景ががらりと変わっているのに驚いた。
三七年の入植当時「山ばかりだった」と振り返るのは、功労者表彰を受けた樋口直人さん。同地で生れ育ち、今も暮らす古川渉さん(75)は「当時の小学校は日系人ばかりでしたよ」と笑う。
戦前はバタタ、戦後は養鶏と、コチア産組と共に歩んできた同市。それだけに、九四年の解散の衝撃は大きかったはず。困難に挫けず迎えた七十五周年。「これからも続けていく」と話す役員の熱意に頭が下がった。
会館の野球場から見える、道路拡張でできた陸橋。この橋を「日本移民百周年陸橋」と名づけることが今月、正式に決まった。来年六月に命名式を行うという。八十年近くに渡って同地日系社会が築き挙げてきた信頼関係の賜物だろう。(ま)