ニッケイ新聞 2007年11月29日付け
サンジョゼ・ドス・カンポス市のパライゾ文協が今年創立五十周年を迎え、十月二十八日、約三百人の出席の下、同会館で記念式典が行われた。式典ではカネボウとともに歩んだ半世紀の歩みを振り返るとともに、将来に向けさらなる発展を誓い合った。
パライゾ文協はサンジョゼ・ドス・カンポス文化協会の傘下四支部の一つ。一九五六年の旧カネボウ工場操業開始にともない、五七年、従業員として各地から参集した日本人及び当地に既に居住していた日本人有志を中心に二十三人の会員で「パライゾ親睦会」として発足した。
その後幾多の試練はあったが、旧カネボウの歴史と共に育ち、サンジョゼ市、旧カネボウと同社から独立したKDBフィアソン社の支援、先住者の協力により本来の趣旨である「日系人の親睦の場」を違えることなく今日まで立派にその活動を継続してきた。
現在の会員は約二百四十家族。式典には、カネボウと関わりのあった人たちも数多く出席した。
先輩たちに対する感謝の黙祷をささげた後、大迫治隆会長(第三十九代)から同文協発足の経緯と、現在に至るまでの苦難の歴史が説明された。
その後カルニーニョ・デ・アルメーダ州議、渡辺エレーナ同市市長代理、林ワルテル市議会代表、西本エリオ、アメリア・ナオミ両市議、KDB社の高橋総八郎会長など来賓の祝辞、酒樽割で祝宴は華々しくスタートした。
同時に親睦会の振興に寄与した三十三人に対する功労者表彰も行われた。
舞台では婦人会を中心とした踊りや、お笑いの吉本興業風の爆笑喜劇、同会員で今年度の全伯歌謡チャンピオンである小島リナさんの歌と有志多数によるバンド演奏、カラオケなど、四十組の出演者は日頃の猛練習の成果を披露し、七時間にわたる宴を盛上げた。参加者は日本食を堪能しつつ、祝賀と親睦のムードは頂点に達し大盛況となった。
今回式典が挙行された会館では、KDB社の支援により音響設備、渡り廊下の新設、建物内装と床の全面改修が行われ、会員会費と有志の寄付により部分的補修が実現した。五十年の節目にふさわしい環境で式典を挙行する事が出来た、と同会関係者は話す。
出席会員は高齢者が目立つが、現役員および参加者一同、今後は新装会館を活動ベースにして二、三世の若者へ継承し、さらには同地居住ブラジル人も参加して地域一丸となった日本文化とブラジル文化の融合を実現させることにより、パライゾ文化協会を永続的に発展させるべく、一層の努力と協力を誓い合った。