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ブラジルへ未曾有の直接投資=資本市場は新時代へ=資金調達の概念が変わる=金融取引はカジノではない

ニッケイ新聞 2007年11月30日付け

 中央銀行は十月、外国人投資が三一億八八〇〇万ドルも入り、過去最高の月間記録を更新と発表した。この流れでは年末までに、三五〇億ドルとなる見込みだと二十九日付けエスタード紙が報じた。これまでの記録は二〇〇〇年、公社の民営化で得た三二七億七九〇〇万ドルが最高であった。この投資資金は、さらに農産物や鉄鉱石の輸出代金も加わり、ブラジルはドルの洪水に見舞われる。反面ブラジルは十月、対外収支が四一〇〇万ドルの赤字であった。
 カジノだ、投機家のあぶく銭が舞うところだといわれたブラジルの資本市場に、新しい時代が到来したらしい。ブラジルの資本市場は黎明期で、経済発展のために必要な資金を容易に調達できる証券市場であることを多くの投資家が知らなかった。証券市場は、株主の持ち株を一時処分する場所だと思っていた。
 十月までに流入した外資は、昨年同期比で六六・一%増という画期的事態。投資は全般にわたるが、特に多いのはアグリビジネスと鉱山。投資の七〇%が投機ではなく、事業拡張やインフラ整備などの直接投資なのも幸先よい。民営化で入ってきた外資は、独占化目的であった。
 今回入ってきた外資は、ブラジル経済の本格的てこ入れ目的である。これは、経済政策が評価された結果だと思われる。ブラジルの海外投資も十月現在、四一億四七〇〇万ドル。十一月さらに三二億八四〇〇万ドルが追加され、合計で八〇億ドルに達する見込み。
 一方、十七カ月にわたって黒字であった貿易やサービス、利益送金、海外旅行などの対外収支が十月、四二〇〇万ドルの赤字となった。十一月は七億ドルの赤字が見込まれ、累計で七億九二〇〇万ドルと予想される。対外収支が左前になったのは、対外環境の変化と中銀は見ている。
 貿易黒字の減少とサービス部門の後退、利益送金の増加は、これからの傾向となるらしい。貿易黒字は二〇〇七年の三九五億ドルから、二〇〇八年は米国の不況により三五七億ドルか、それ以下へ後退する見込みといわれている。