ニッケイ新聞 2007年11月30日付け
ブラジルは全般に所得格差が縮小しているとはいえ、首都は逆方向へ進んだと労働社会研究所(IETS)が発表した。首都につづいて貧富の格差がひどいのは、レシッフェとサルバドールの順だ。首都は、エリート高級官僚と流民や難民が近郊十八郡に密集する集合都市といえる。
この三都市が、ブラジルの典型的天国と地獄の共存地帯。また富の再分配というシステムが機能しない仕組みとなっている。三都市とサンパウロ市など主要都市を除く他は暫時、格差が解消されつつあり富の再分配が機能しつつある。
首都へ上京するのは、主に北東伯から生活の向上を求めてきた人たちだ。首都では、これらの人を生きている無縁仏と呼ぶ。食料を購入すれば、裸で過ごす。服を買えば、食べ物がない。それでも生まれ故郷で、餓死線上で過ごすよりよいといっている。
首都でロリス前知事が、ホームレスにレンガを無料配布したことで噂が北東伯に広がった。それまで建築現場の残材で立てた掘建て小屋は、レンガ造りに変わった。殆どは母子家庭で、母親は文盲。生活扶助金と洗濯、子守りなどの不時収入で暮らす。