ニッケイ新聞 2007年11月30日付け
「ブラジルの処女地に新しい文化の創造を」の理想を掲げて一九三五年に弓場勇氏(故人)と有志らによって創立されたユバ農場(コムニダーデ・ユバ協会=弓場常雄代表)。百周年開始を目前に控えて、NHK、フォーリャ紙、エスタード紙などの大手メディアで立て続けに扱われ、一日からは写真展も行われるなど、改めて脚光を浴びている。
ブラジルでは初の農場写真展となる「YUBA Onde a arte vive da terra」が、十二月一日からサンパウロ市セー広場の連邦貯蓄銀行文化センター(CAIXA Cultural SaoPaulo ,Praca da Se,111)の一階(Galeria Octogonal)で行われる。入場無料。
撮影したのはフリーの写真家で、ユバ農場の主治医を長いこと務めたミランドーポリス市の故・神沢ヨシト医師の娘、神沢ルシーレさん。父親の仕事の縁で知り合い、本業のスチュワーデスの傍ら、四年ほど前からひんぱんに出入りし、撮り貯めてきた作品から、三十点ほどを選んで展示する。
ユバ農場の矢崎正勝さんも「とても温かい写真、雰囲気がよくでいる」と賞賛する。矢崎さんによれば、関西の写真家により八〇年代に兵庫と東京でユバ農場の写真展が開催されたことがあるが、ブラジルでは初めてだという。
本日三十日午後七時半から、招待客を呼んで行われる開幕イベントでは、四十分程度のユバ・バレエ公演も予定されている。
十月二十一日付けフォーリャ紙とレビスタ・フォーリャには、「この農業共同体が耕すのは土地だけではない」と、小原明子さんの指導で四十六年間も続くバレエ団などの文化活動を詳しく紹介した。
エスタード紙も「日本移民百年への道」連載の一部として十一月十七日付けで、「日本の伝統と自然への愛を育むコミュニティ」との見出しで、独特の生活スタイルを伝えた。
その他、レージ・レコルジTV局の取材班も四日間ほど滞在、取材しており、近日中に放送される予定。
今年五月末にはNHKスペシャル『にっぽん 家族の肖像・第2集 大家族の夢』も放送された。「テレビを見たといって三人ぐらい日本からやってきました」と矢崎さんは反響の大きさに驚く。
現在、その続編の撮影も進行中だという。七十二年間もユニークな伝統を貫いてきたその存在が、今あらためて評価を受けているようだ。