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気持は日本人=空手〃日本代表〃に=浜松の日系三世岡田さん=近くイランでの国際大会へ=不登校になった日々=道場の門叩き成長

ニッケイ新聞 2007年12月1日付け

 【静岡新聞】「日本人と気持ちは変わらない」―。日系ブラジル人三世の岡田グチエヒさん(19)=浜松市中区葵西=が、今月イランで開催される空手の国際大会に日本代表として出場することが決まった。来日後は公立中学校を途中でやめ、工場で働いた経験もある岡田さん。国籍はブラジルのままだが、空手を通じて身に付けた日本の礼儀作法や精神を武器に世界に挑戦する。
 出場するのは二十七、二十八の両日に開催される「士道館空手道オープントーナメント・アジア大会」。アジア十五カ国からトップ級の選手が集まり、岡田さんは重量級に出場する。三位入賞を果たした九月の全日本選手権の実績と試合内容が評価され、ブラジル国籍ながらも特例で、同大会唯一の日本代表選手に選ばれた。
 九歳の時に家族とともに来日した岡田さん。浜松市内の公立小学校に通い始めたが、言葉が分からず別教室で授業を受ける日々。中学校に進学すると「勉強についていけなくなった」。中二の二学期に「ブラジルへ帰国する」と言って学校をやめると、しばらくして市内の自動車部品工場で働き始める。その後は、目的もなく職場を転々とした。
 転機は今年二月。「日本的な魅力を感じた」という空手道場の門をたたくと急成長を見せ、精神的にも忍耐強くなった。「日本人は相手のことを思いやる。空手を始めて日本人から学んだ。もっと日本人らしくなりたい」と笑顔で語る。