ニッケイ新聞 2007年12月1日付け
サンパウロ総領事公邸で二十九日、平成十九年度秋の叙勲で旭日双光章を受章したブラジルヤンマー(株)元社長の後藤隆さん(83=広島県出身)への勲章伝達式が行われ、親族、知人、ブラジル日本商工会議所の関係者ら約三十人が集まった。勲章を受けての挨拶の際、五年前に亡くなった夫人のことを話し始めると声を詰まらせ、「このたびの勲章は私たち夫婦が頂いたものだと思う。多分、家内が一番喜んでいるでしょう」と述べ、栄えある受章に感謝した。
後藤さんは、ブラジルヤンマーで約四十年間の永きに亘り、副社長、社長を勤め、製品の国産化政策による政府承認プロジェクトに従い、小型ディーゼルエンジンを完成させた。同エンジンは農業に従事していた日系農家などに供給され、農家は営農、生活の安定を得るという恩恵に浴した。
また、商工会議所会頭時代には会員を増やし、会議所内に業種別の部会を作り、各部会で情報交換を活発化させ、会員企業の業績向上につなげた。
西林万寿夫総領事が「本日の栄えある受章を心からお喜び申し上げます」と挨拶。その後、勲記と勲章を受け取り、挨拶に立った後藤さんは「激しいインフレなどで苦しんだが、小型ディーゼルは内陸部に住む、日系農家に使用され、地域の社会発展に少なからず寄与したと思う」と続けて「本日の受章は多くの方々のご協力、支援の賜物だと思います。来場の皆さんありがとうございます」と謝意を表した。
田中信会議所会頭が乾杯の音頭をとり、記念撮影が行われた。
後藤さんと個人的に付き合いがあったヤクルト商工の貞方賢彦社長は「本当に嬉しく思う。昔からいろいろと教えていただいた。実は、奥さんと同じ蛇年で私はひと回り下なんです」と感想を語った。
また、ヤンマー現社長の古宮康司さんは「日系社会があればこそヤンマーがある。日系社会に深く感謝したい」と日系農家の人たちに感謝の気持ちを述べた。
会議所時代からの旧友である難波慶二さん(ブラジル東洋紡元社長)は「もっと早くもらっても良かったと思う。これからも元気で活躍していただきたい」とそっと言い残し会場を後にした。