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州政府日本文化教育プログラム「VIVA JAPAO」の現場を行く~広島中学校編=「平和の日」に開校=広島テーマの歌と踊り=毎年8月に平和学習も

ニッケイ新聞 2007年12月1日付け

 サンパウロ州教育プログラム「VIVA・JAPAO」の文化祭が先月二十七日、サンパウロ市ジャルジン・ノッサ・セニョーラ・ド・カルモ区の広島中学校(ロゼリ・リッタ・フェルナンデス校長、生徒数三千五百)であった。州教育局の日野寛幸コーディネーターによれば、現在三百五十校、約五十万人が参加している。各校でも好評のため、同プログラムを一年延長するよう検討されているという。
 同校は一九六七年に地元で桃栽培などを行なう日系人農家が多かったこと、開校日が広島に原爆が投下された八月六日だったことから、「広島中学校(Escola Estadual Cidade de Hiroshima)」との名称で開校。
 今年創立四十周年を迎える同校では、毎年八月には平和学習を実施している。〇三年には藤田雄山広島県知事が訪問、桜の植樹を行なった。
 着物姿で校内を案内してくれたフェルナンデス校長は、亡くなった元主人が日系人だったこともあり、大の日本ファン。
 生徒のわずか二%が日系であることを説明しながら、「今の日本だけでなく、過去も学ぶことでより理解が深められるのでは。指導する教師たちにとっても勉強になっている」と同プログラムを高く評価した。
 発表の会場となった屋内球戯場には、風船で日伯両国旗をあしらい、頭上には日本の紅白、ブラジルの黄緑の大きな布がはためく。
 日伯両国家斉唱の後、都道府県の県章をデザインしたプラカードを掲げた生徒たちが行進、生徒自作の広島をテーマした歌詞の曲をバックに踊りなどとのコラボレーションを披露した。
 柔道、空手の模範演技やラジオ体操、来賓も参加した炭坑節は大いに盛り上がり、会場中央に大きな輪ができた。
 校舎内の階段を舞台に見立て、かつて地元日系農家の中心的農作物だった桃を題材に寸劇が行なわれた。
 約二週間練習し、桃の精を演じたキンバリー・デジヂーノさん(16)は、「日本の舞台についても調べた。地元のことも色々分かった」と上気した様子で話した。
 各教室は、茶道、アニメ、カラオケ、折り紙などそれぞれのテーマに関心を持った生徒たちが研究成果を展示。
 広島市中心部にある平和記念公園の模型を作ったレナタさん(14)は、「写真を参考に作った。本物を見に行ってみたい」と話し、「今度は原爆ドームに挑戦したい」と指導教諭のアナ・ソウヂさんと笑顔を見せた。
 「かつて日本文化はコロニアのなかで日系人子弟に伝えるものだった」と話す日野コーディネーターは、「(同プロジェクトと)百周年を機会にブラジル社会との繋がりが深まれば」と
同プロジェクトの効果に期待を寄せた。