ニッケイ新聞 2007年12月1日付け
霞ヶ関の汚職体質は、どうやら本物らしい。難関の試験に合格し任官の頃は「国家のために」の意識が高かったに違いないが、月日と共に権力の僕(しもべ)になってしまい、金権に執着し堕落する。勿論、官僚として国に尽し生涯を過ごした立派な人も多い。だが、近頃は、権力を笠にきた江戸時代の悪代官の如き木っ端役人のような官僚が目立つ▼「日本の役人は世界一」とされるようにエリート官僚の頭脳は明晰である。確かに頭は良いし法律にも明るい。しかも、行政能力は抜群なのだが、時には―これがマイナスに作用することもある。警察の県警本部長クラスの不祥事があったし、旧厚生省の岡光序治次官ら省庁の幹部も収賄や汚職で何人もが逮捕されている。霞が関だけではなく県知事らの談合疑惑も頻発する▼防衛省もまた腐敗しきっている。旧調達実施本部幹部の汚職事件に始まり不祥事はいっぱいある。防衛省には約1兆円近くの武器購入用の予算があり戦闘機や護衛艦などの建造費なども含まれるのだが、これに絡んでの不正や疑惑が絶えない。迷?次官である守屋武昌容疑者の収賄の疑いも、こうした関連である。「女次官」と呼ばれた幸子夫人と一緒に逮捕されたが、事の真相が明らかになれば政界を揺るがす大事件になる▼「山田洋行」の宮崎元伸前専務とのゴルフ三昧。愛妻を伴っての北海道えの遠征?や金銭の授受も判明している。10日ほど前の新聞社の取材ではかなり弱気の姿勢もあったが、あるいは「逮捕も覚悟していた」のではないか。こんな脳天気が防衛省の事務次官では、国の守りもまったく頼りにはらぬ。(遯)