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鹿児島県人会=会館売却に合意=臨時総会=熱く議論を交わす=老朽し補修費、安全面に課題=新会館は駅至近、治安良好な場所を

ニッケイ新聞 2007年12月4日付け

 ブラジル鹿児島県人会(園田昭憲会長)は二日、サンパウロ市パカエンブー地区の会館で臨時総会を開き、同会館の買い替え案について、いつでも売却できる態勢を整えることで合意した。同総会には会議室を埋め尽くす会員ら約七十人が参加、賛成多数で同案を可決した。園田会長は「これからが勝負になる。次は母県の賛同を得たい」と話している。
 冒頭のあいさつで園田会長は、「すぐに会館を手放すわけでない。良い条件があればいつでも会館を売却できる態勢にしておきたいだけ」と説明した。
 同会館は一九八〇年、同県人会創立六十五周年記念事業として、既存の家屋を改修して建設された。屋外プールのほか十人ほどの宿泊施設があるが、建物全体の老朽化などが課題となっている。
 売却の理由について、会長は会館の補修・管理費の増加を指摘。とくに下水道漏れ、配線のショート、雨漏り、壁の剥がれなどが目立ち、現在は会長経営の会社従業員に定期的に修理させている状況とした。
 さらに会館が地下鉄クリニカス駅から遠く、坂が急で繁華街からも離れていることから、「会員の利用度が極端に低い」と強調。今年三月から現在までに定例役員会、敬老会以外に会館利用があったのは五回ほどで、「使用料金が期待できる外部者の利用がほとんどない」と説明した。
 また同会館が大通りから離れているため、寄宿生の安全面に不安があることや駐車場不足による警備費の増加、さらに県人の車両盗難やサッカーファンによる車両破損などが頻発していることも理由にあげた。
 これらの説明に対し、「最終的には会館を売ることになるだろうが、まずは一世の篤志家から資金を集めて議案を先送りしては」などの意見が出たが、園田会長は早期にも母県からの補助金もなくなる可能性などを触れたうえで、「お気持ちは重々承知している。しかし時代の流れも早く、今の時期から会の運営態勢を整えていかないと遅くなる」と述べ理解を求めた。
 また一部の会員からは「会館を売ることは反対ではないが、この会館が千三百人以上の寄附金から建てられた重みを十分に知って欲しい」との声がでた。しかし大多数の意見では「このままでは会がなくなるだけ。時代の流れにあわせて運営を合理化すべき」「二世、三世、四世に借金を残しても日本文化を継承させていくことはできなくなる」といった意見が聞かれるなど、出席者ほぼ全員が会館売却案を支持した。
 これらの議論の合間に、園田会長は会費納入者を現在の二百人から三百人以上に増やすこと、また宿泊スペースを増築し、家賃収入の増加があれば会館を売却する必要もないと代替案を示したが、「この部屋の増築にもざっと十万レアルはかかり維持費も増える。会費納入の増加も難しい」と強調し、会館売却の妥当性を裏付けた。
 会長は今後訪日して母県の賛同を得る意向で、新会館の購入については、母県や会員に影響が出ない範囲にしたいという。「場所はリベルダーデを考えている。仮に現在の会館を二百万で売却できたら、百万レアルほどで新たな会館を購入し三十万ほどで改修する。残りのお金は基金として歴代の会長経験者が管理して次世代にスムーズに会を引き継ぎたい」と話している。