ニッケイ新聞 2007年12月5日付け
地政学的に最近、二つの大事件があった。これは、ブラジル経済にも多少の影響がありそうだ。第一はベネズエラのチャベス大統領の敗北で、半永久的権力の座が阻止されたこと。これは、地政学的に大衆迎合の限界を示していそうだ。
第二がダッタフォーリャの調査発表で、PTはルーラ大統領に代わる駒がないということ。これはPT政権が、政府機関の要職に多数の無能な党員を情実で任命したツケだと四日付けエスタード紙が論説している。これは、野党の攻撃対象となりそうだ。
PT党員の頭には、ブラジルの政治より党の財政が重要である。党員はPTあっての党員であり、党を離れたら空気のようなものだ。このPT体質をまとめて次期大統領選に結びつける人材が、ルーラ大統領以外にいるのか。
低所得層に飴をバラ播いて人気を取り、それを票へ結びつける手法が、いつまで可能かまだ信じ難い。ルーラ大統領の後継者にも、同じ手法を適用するのだろうか。それとも宣伝的な公共工事を多数、見せて関心をかうのか。
それなら、CPMF(小切手税)にこだわる理由が分かる。二〇〇八年期限のCPMFは、選挙費用を差し上げるようなものだ。選挙の二〇一〇年まで時間があるから、まだ色々なことが起こりそうだ。