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前上院議長=辞任で議員権はく奪を放免=寡占政治終わらず=地方豪族の時代はまだ続く=賛成48対反対29で表決

ニッケイ新聞 2007年12月6日付け

 レナン・カリェイロス前上院議長(PMDB=ブラジル民主運動党)は四日、議長職を辞任し、新聞ラジオなど報道機関の買収告発に対する上院本会議の議員権はく奪表決を、放免四十八票に対し反対二十九票で免れたと伯字紙が報じた。議長の辞任は予想され、前議長の倫理問題には誰も関心を示さなかった。むしろ上院は、後任人事に話題が集中した。後任議長の選出は暫定金融税(小切手税)の決議後という要望があったが、ヴィアナ上院臨時議長は、十二日選出を通告した。
 カリェイロス上院議長は再度、窮地を突破した。ブラジルの寡占政治は、まだ終わっていないらしい。ラランジャ(名義賃貸人)を使えば、何でもできることを教えた。無記名投票であったことも、前議長に有利であったようだ。
 議員権はく奪放免票を入れた四十八人と棄権票を投じた三人で、合計五十一人の友人が前議長にいることが分かった。公金で愛人を囲った資金源表決が行われた九月、四十六票であったから、さらに五人の見方を集めたようだ。
 上院本会議は前議長の去就裁決という雰囲気ではなく、次に誰が議長席に座るかへ関心が移っていた。政治倫理を問うたシモン上議(PMDB)と意見書を上程したペレス上議(PDT=民主労働党)は、上院で笑い者にされている。
 上院本会議は、傍聴席も廊下も報道陣や全議会の職員、議員側近らで超満員となった。本会議開始後の二十分、前議長は予測通り辞任を表明した。これで流れは完全に変わり、前議長にかまう者は誰もいなくなった。前議長は、座の空気を読みリードすることで役者が一枚上手のようだ。
 国会が大洋なら、サルジニャ(いわし)とトゥバロン(さめ)がいる。大洋の主は、トゥバロンであることに変わりはないとジュカー上議(PT)が述懐した。上層部は前議長のCPMF延長協力を引き換えに、議員権はく奪をしない裏取引があったという。
 本会議が終わって前議長は、凱旋将軍のように記者団に応えた。「私は自分の潔白が明白なので、自己票を使わなかった。私に対する告発は、倫理でも何でもなく、議長席を狙う政治的策略に過ぎない。単なる誤解なのだ。国会の名誉だと格好をつけなくてもよい。気分が悪くなる」と。